この度、6月27日より公開となった『雪の轍(わだち)』。新宿武蔵野館では連日満席が続く、大ヒット公開中です!
カンヌ国際映画祭で監督賞(未公開作「スリー・モンキーズ」にて)を1回、グランプリ(パルム・ドールに次ぐ賞/ともに未公開作品の「冬の街」、「昔々、アナトリアで」にて)を2回受賞しており、21世紀の重要な監督の一人として世界的に認知されているヌリ・ビルゲ・ジェイラン。実は、ジェイラン監督の作品が日本の劇場で公開されるのは『雪の轍(わだち)』が初めて。年間を通して様々な作品が公開される日本でも、実はまだまだ“知られざる監督”がいます。2014年アート系作品最大のヒット作『チョコレートドーナツ』はトラヴィス・ファイン監督の2作目で日本デビュー作でした。
2015年に入ってからは何と言っても『セッション』のデミアン・チャゼルが日本デビューにして大ヒット!その他にも『おみおくりの作法』でウベルト・パゾリーニ監督が日本デビューするなど、新たな才能を持った監督が紹介されました。

そして、最近は“知られざる監督”の中でも、すでに実績を持った“大物”たちの作品が続々公開中。1作目はもちろん、カンヌ国際映画祭最高賞を受賞した『雪の轍(わだち)』のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した際には、「驚くべき演出力」「信じがたい知性!」と海外メディアから絶賛されました。もう一人は、『フレンチアルプスで起きたこと』のリューベン・オストルンド監督。日本未公開作品の「インシデント・バイ・ア・バンク」ベルリン国際映画祭短編部門金熊賞を受賞し、前作の「プレイ」ではカンヌ国際映画祭のほか、ヴェネツィア国際映画祭やトロント国際映画祭を始め数々の映画祭で上映され、東京国際映画祭では最優秀監督賞を受賞し、いよいよ今回日本デビューを果たした。
『人生スイッチ』のダミアン・ジフロン監督は、前々作品の「The Bottom of the Sea」でサン・セバスチャン国際映画祭審査員特別賞を始め、数々の賞を受賞。 アルゼンチンとスペイン両国で大ヒットとなった前作、「Tiempo de valientes」で国内外で多数の賞を受賞。そして、いよいよ今回が日本デビュー作となった。

新しい才能や文化などとの出会いも外国映画を観る醍醐味の一つ。「やっと日本人に俺の作品が観てもらえる!」と言ったかは分からないが、ぜひ、“初上陸監督”たちの作品を楽しんでほしい。

●見逃し厳禁!!最近公開を迎える“初上陸監督”たち
絶賛公開中!『雪の轍(わだち)』 

★カンヌ国際映画祭 パルム・ドール大賞受賞 
→満を持してカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞し、フランスでは『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『LUCY/ルーシー』と同じ時期に公開されたにも関わらず大ヒットを記録。日本では初公開を記念して、秋にはジェイラン監督の作品を特集した映画祭も開催される。

公開中『フレンチアルプスで起きたこと』 
★カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 審査員賞 ★ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞ノミネート
→「ウォール・ストリート・ジャーナル」「NYタイムズ」「LAタイムズ」等アメリカの有力紙がこぞって取り上げ、全米の映画批評家協会が選ぶ外国語映画賞でみごと最多の15冠を獲得ハリウッドでのリメイクが決定した。

公開中『人生スイッチ』
★カンヌ国際映画祭 コンペティション出品 ★アカデミー賞外国語映画賞 ノミネート
→アルゼンチンで注目されていた、ダミアン・ジフロン監督の過去作を観た名匠ペドロ・アルモドバルがその才能に惚れ込み、自らプロデューサーに名乗り出た。出品された映画祭ではあまりにも斬新な面白さで話題の的に。

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執筆者

Yasuhiro Togawa