6月20日(土)日本公開を迎える『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。

この度、本作にてストーリーの鍵を握る“ワイブス”の場面写真、及びキャラクター情報を解禁させていただきます。

“ワイブス”=5人の妻たちについて、ジョージ・ミラー監督は、「ジョーの5人の妻たちは、この映画で古典的な“マクガフィン”、それをきっかけに話が展開する仕掛けであり、誰もが追いかける対象だ」と語り、「荒野で激しいチェイスが展開するなかで、観客がすぐに一人ひとりを見分けられるような女性たちでなければならない」と説明する。彼女たちがフュリオサと共に逃れようとすることで、自分の所有物を取り戻そうとするジョー軍団による、容赦なき追走が始まる。

逃亡中の女たちのリーダー的存在、スプレンディド・アングラードには、モデルから女優に転身したロージー・ハンティントン・ホワイトリーが起用され、彼女の右腕で優しいケイパブルをライリー・キーオが演じている。ゾーイ・クラビッツが演じるのはタフで知識が豊富なトースト・ザ・ノウイング、そしてコートニー・イートンがか弱いチード・ザ・フラジール、アビー・リーがザ・ダグを演じている。
5人は、シドニーへ飛び、脚本のニコ・ラソウリスと自分たちのキャラクターを練り、3週間にわたってリハーサル、衣装合わせをおこない、オーストラリア人振付師メリル・タンカードとともに身のこなし方を学んだ。リサーチの一環として、アフリカのコンゴでレイプ問題に苦しむ女性たちのための活動をした経験があるフェミニストの劇作家イブ・エンスラーとも時間を過ごした。

スプレンディド役のハンティントン・ホワイトリーは、「リーダーで、ものすごく強い人なの。彼女はほかの女の子たちに対して母親のように振る舞うんだけど、自分自身の妊娠に関しては、複雑な思いがある。おなかの中にいるこの子についてどれだけ葛藤があるのか、イブ、そしてジョージと何度も話し合いをしたわ。スプレンディドはとても勇敢に見えるけれど、無茶なこともよくやる。そんなとき、ジョーからされたことと、その結果生まれてくる子供をそれでも愛せるかどうかということについて彼女が苦しんでいることが分かるの」と話す。

キーオが演じるケイパブルにも優しく、同情深い側面がある。それはニュークスが自分の命と引き換えにウォー・タンクを奪い返そうとして失敗したあとで、ウォー・タンクにこっそり乗り込んでいたのを見つけたときに表れる。キーオはこう語る。「5人の妻たちは、ジョーが無防備なときを見ていたので、ケイパブルはジョーが、ニュークスたちが信じているような“神”ではないことを知っているのよ。彼女はニュークスと出会ったとき、彼と心を通じ合わせ、生きるための新たな目的を見つけるの。ふたりは互いを心から思いやるようになるのよ」という。
その点に関しホルトはこうつけ加える。「ニュークスは荒れた世界で育ったので、ケイパブルが自分の話を聞いてくれて、心配してくれるなんて、理解できないくらいすごいことだった。彼はある意味、子犬みたいなんだよ。その瞬間から、ケイパブルだけが彼の生きがいになる。彼女は、ニュークスの中に人生を変えることができる可能性を見いだし、彼が知らなかったことへ目を向けさせてくれた人なんだ」と。

フュリオサのような戦士になることを夢見るトーストを演じるゾーイ・クラビッツは「彼女たちは、自分で何かをする必要がそれまでまったくなかったんだけど、今では命懸けで戦っている。突如として、自分自身を守ったり、フュリオサのために弾をこめたりしなければならなくなるの。そんな彼女たちの中で、トーストだけは、いつでも進んで戦う心構えができている。深く考えすぎたり、思い直したりする時間はないのよ。絶えず誰かが襲ってくるんだから」と語る。

本作が映画デビューとなるモデルのアビー・リーは、オーディションでザ・ダグ役としてミラーの注意を引いた。オーディションでは、その俳優の本質をつかむため、ミラーは彼女たちに本作の脚本ではなく、映画かTV番組から1本選んで、どこかのシーンのセリフを言ってみて、と頼んだ。「映画『ネットワーク』から、リズミカルな一節を演じたいと思うのか、モンティ・パイソン作品から、オウムのシーンのようなコミカル
なものをやりたがるのか……。どの作品、どのシーン
を選ぶかによって、俳優としてどんな人物か、多くのことが分かるものだよ」とミラーは明かす。

そして唯一、モンティ・パイソンを選んだリーが、グループの“道化役”になったのは当然だった。彼女は「ザ・ダグはこの映画ではちょっとした息抜きを提供する役回りなのよ」と語るリーは、オーストラリア人で、“マッドマックス文化”に夢中になって育った。「ザ・ダグには陰があり、コミカルなものが出てくるのもそれがあるからなの。それが彼女が苦しみを対処する方法なのよ。彼女の名ザ・ダグ(The Dag)は、“ダギー(daggy)”という単語から来ていて、それは“ちょっとズレている人、ちょっと不器用な人”を愛情込めて呼ぶ言葉なの。彼女にはまた、軽はずみなところがあり、それはナーバスになっているからだと間違えられやすいけれど、じつは、周囲で起きていることをすごくよく認識しているせいなの」と説得力のある話をしている。

セットで、リーは“芸術は人生を模倣する”という格言を実感した。ヒュー・キース・バーンがイモータン・ジョーの完全な扮装でウォー・タンク目指して車を飛ばしてくるのを初めて見たときに、彼女はパニック状態になったのだ。ミラーは「アビーは、ジョーになりきったヒューを初めて見て、最悪の気分がこみ上げてきたと言っていた。素顔のヒューは、とても優しい男なんだよ。でも、あの衣装は相当ぶっ飛んでいるので、マスク越しにあの目でじっとにらまれたら、かなり怖い」と撮影現場を思い返した。

撮影中はまだ16歳だったコートニー・イートンが演じるフラジールは、女たちの中で
最年少であり、もっとも世間知らずだ。「フラジールは外の世界で生まれて砦に連れて来られたわけではないの」とイートンは説明する。「彼女は砦で生まれたので、そこでの生活しか知らないのよ。だから、砦の外にいることで不安で仕方がないの。彼女は安全で安定した場所に戻りたい。食べ物と水があり、自分は死んだりしないと分かっている場所へ。彼女はいわば、家庭内暴力を受け、逃げ出してもどうしても加害者のもとに戻ってしまう妻みたいなものね」と話す。

ミラーは「ジョーの妻たちは皆、荒野に出ていったことがなかったので、とてももろい状態なんだよ。そして、フュリオサが言うように、人生には痛みがつきものだ。だが5人の中でもっとも弱いフラジールも、ストーリーが進むなかで自分の強さを見つけていく」と語る。
そのフラジールは、フュリオサが目指す“緑の地”、彼女が子供時代を過ごした植物が豊かに茂るオアシスに行くことにいちばん懐疑的だ。だがフュリオサは、そこでなら、5人の妻たち、そして、スプレンディドのおなかの子にとって、よりよい人生が送れると信じているのだ。

ジョージ・ミラー監督は「フュリオサは、マックスのように人生に絶望しきってはいない。彼女は疲れきってはいるが、まだ荒野の向こう側へ逃げる最後のチャンスに賭けてみようとする。それは自分のためだけではなく、まだ最後のチャンスに希望を捨てていない若い女性たちのためでもあるんだ。フュリオサは、自分の人生に何か意味を見つけるために、彼女たちを緑の地へ連れて行こうとする」と語った。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のストーリーを突き動かし、女戦士フュリオサにとって、希望となるワイブスたち。ジョージ・ミラー監督が世界から「一目でその存在が見分けられる」セレブ女優たちをキャスティングしたワイブスたちはどんな活躍を見せるのか。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、シャーリーズ・セロン演じるフュリオサと、虐げられた5人の美女たちの希望への戦いを描く作品でもある。

女性たちが躍動する、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、6月20日(土)より全国ロードショーとなる。

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執筆者

Yasuhiro Togawa