何があっても離れない夫婦の十年を描いて、報知映画賞最優秀監督賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞(木村多江)、ブルーリボン賞最優秀新人賞(リリー・フランキー)など数多くの賞を受賞した名作『ぐるりのこと。』(2008 年6月公開)から7年。誰もが待ち望んだ鬼才・橋口亮輔のオリジナル脚本による長編映画『恋人たち』が、11 月、テアトル新宿ほか全国にてロードショーが決定しました。

松竹ブロードキャスティングによる、作家主義、俳優発掘を理念としたオリジナル映画製作プロジェクトのひとつである本作は、キャストのほとんどをワークショップに参加した新人俳優が演じています。このたび、橋口監督自らが選び抜いた主要キャスト3名と、彼らとともに橋口ワールドを盛り上げるべく集結した多彩な俳優陣を発表させて頂きます。

通り魔殺人事件によって妻を失った男アツシに、橋口監督の中編『ゼンタイ』にも参加した篠原篤。まじめに生きながらも理不尽な目に遭い、苦しみもがくアツシを寡黙に演じます。自分に関心をもたない夫、そりが合わない義母と暮らす平凡な主婦・瞳子に、同じく『ゼンタイ』でスーパーの店員を演じた成嶋瞳子。同性愛者で完璧主義のエリート弁護士役には、ビジネスコンサルタントを経て俳優になったという、異例の経歴をもつ池田良。彼ら3人が、それぞれ異なる“恋人たち”として、物語の軸を担います。

キャリアの浅い、無名の新人である篠原篤、成嶋瞳子、池田良らを支えるべく、橋口監督のもとに集結したのは、個性溢れる日本映画界の実力派たち。刺激のない毎日をおくる瞳子の前に現れ、彼女の生活にひとすじの光を与える男に、日本映画界が誇る名脇役・光石研。その愛人役に、NHK 朝の連続テレビ小説「あまちゃん」での好演も記憶に新しい、安藤玉恵。瞳子の姑役には、橋口作品には初参加で、演出家としても活躍する木野花。さらに、アツシの先輩役に『天然コケッコー』『南極料理人』の黒田大輔。アツシが出向いた区役所で、非情な対応をする職員役には映画やドラマ、CMと幅広く活躍する山中崇。弁護士の親友役には『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』に続く橋口作品への出演となる山中聡、そして弁護士の依頼者としてやってくる女子アナ役には『ヒミズ』『きみはいい子』など話題作への出演が続く内田慈。そして、『ぐるりのこと。』で主演デビュー後、『凶悪』『そして父になる』で映画賞を総なめにし、今や日本映画界に欠かせない俳優のひとりとなったリリー・フランキーが、アツシの先輩役を演じているのも見どころです。

「『今の日本が抱えていること、そして絶対にメジャー映画では拾わないであろう “人間の感情”を、ちゃんと拾ってあげたい』と思って制作に取り掛かりました。この映画を観た方に『ああ、ここに自分と同じ想いがある』と、感じてもらえたら、この映画が、その方の支え、救いになるのではないかと思ってます。」 橋口監督が、こう語る『恋人たち』は、11 月の公開に向けて現在鋭意制作中。2015 年最高の話題作となる『恋人たち』にどうぞご期待ください。

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執筆者

Yasuhiro Togawa