『第9地区』では”エビ型エイリアン”、『エリジウム』では、マット・デイモンにボディを強化する”パワードスーツ”を着用させるなど、常にユニークな造形と強烈なインパクトの映像を発信し、映画ファンをときめきの映像体験に誘い続ける鬼才ニール・ブロムカンプ監督。

彼の最新作は、人類史上初めてAIを搭載した”ロボット”が主人公となるSF映画『チャッピー』。最先端テクノロジーをめぐるアクション、AIロボットの成長エモーショナルなドラマが融合した、新たなSF映画が誕生した。主人公チャッピーを演じるのは、ニール・ブロムカンプ監督とは3作連続となるシャールト・コプリー。ヒュー・ジャックマンが従来のイメージを一新する悪役を演じ、シガニー・ウィーヴァーは辛辣な軍事会社のCEO、デーヴ・パテルがAIを開発した天才科学者に扮し、白熱の演技バトルを披露することでも話題の作品です。

「僕は進化の過程に興味がある。人間は進化の過程であり、我々は自ら次の形態を選ぶのかも知れない」と語るのは、撮影現場でチャッピーを動かすニール・ブロムカンプ監督だ。『第9地区』『エリジウム』に続く、ブロムカンプ監督の長編第3作となる『チャッピー』は、人類史上初めてAIを搭載したロボットが主人公となるSF映画だ。
「本来、意識というのは、絶えず発達し、変化するもので、限界がありません」と指摘するのは、アリゾナ大学の准教授ウォルフガング・フィンク博士だ。彼は、人類史上初めて
AIを搭載し、自ら感じ、考えるロボット、チャッピーには限界がないと断言する。
ロボット開発者ヴィンセント役で、悪役を演じたヒュー・ジャックマンは、「将来起こるかも知れない事態なのに、皆見過ごしている」と、映画が描くロボットの成長に危機感をあらわにする。「確かに人工知能は便利だが、誰が作って操作するのか?」によって、善にも、悪にもなり得るというのだ。
「人工知能ロボットは自分で判断をしますが、その基準が正しいとは限りません。人間が守っているモラルや規範を持っていないかもしれません」と指摘するのは、アリゾナ大でロボットを研究するアンソニー・ロドリゲス氏。
チャッピーは、ロボットのAIプログラムを開発したディオン(デーヴ・パテル)によって生み出される。だが、実際にチャッピーを育てるのはストリート・ギャングのニンジャとヨーランディだ。正しく育てようとするディオンと、一攫千金のために味方にして銀行強盗をやらせようとするギャングの間で、チャッピーは複雑な成長を遂げていくことになる。

アリゾナ大のフィンク氏は、「ロボットが意識を持つようになるかは疑問。何故なら、我々人間が、意識がどこから生じるのかを理解していないから」と分析する。ニール・ブロムカンプ監督は、「高い知能レベルのロボットが、自分の生みの親である人間に共感できないなんて、僕は想像できない」と語り、「チャッピーを生んだのは人間の優しさだ」と、人類史上初めてAIを搭載したロボットSF映画『チャッピー』に挑んだ心境を吐露している。
「僕には心がある。僕は生きている。僕はチャッピー」
向かってくる敵の銃弾から母を守り、コンテナへひとっ飛びするチャッピーは、遂にマシンガンを手に戦いを決意する。考えるロボットは人類の味方なのか、それとも敵なのか。人類の未来を変えるかも知れないAIロボットの成長を描く映画『チャッピー』は、5月23日(土)より、全国ロードショーとなる。

『チャッピー』特別映像
http://youtu.be/dDfl75jQIk4

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執筆者

Yasuhiro Togawa