<大阪バイオレンス>という
新たなジャンルを知っているか!?

 ドイツ・ハンブルグ映画祭では“ミスター・バイオレンス”と呼ばれ、海外映画祭が無視できない日本人監督がいる。大阪で突然変異的に産み落された“バイオレンス映画の新世代監督”石原貴洋だ。彼の作りだす世界は特にヨーロッパで熱狂的に支持され、今最も熱いのは<韓国バイオレンス>ではなく<大阪バイオレンス>だ!と言われている。
 この度、満を持して、石原監督の初の特集上映が開催される。デビュー作『バイオレンスPM』から世界最速公開となる最新作『コントロール・オブ・バイオレンス』まで、長編4本を一挙上映!ついに<大阪バイオレンス>という新たなジャンルが誕生する!石原監督の描く暴力の先にあるものは何か・・・ぜひ目撃しよう!

■第七藝術劇場 http://www.nanagei.com/
■期間:4/25(土)〜5/22(金)
■ゲスト情報
4/25(土)21:10回/石原貴洋監督 、林海象さん、 山中アラタさん、屋敷紘子さん
4/26(日)、4/27(月)21:10回/石原監督、山中アラタさん
4/30(木)21:10回/石原監督、マーキーさん、大宮将司さん
5/1(金)21:10回/石原監督、後藤克秀さん、仁科貴さん
5/2(土)20:00回/石原監督、後藤克秀さん、仁科貴さん、尚玄さん

■石原貴洋とは何者か?

石原 貴洋【映画監督・映像作家】
1979年生まれ。大阪ビジュアルア−ツ専門学校・放送映画学科卒業。2004年より完全地域密着型の小学校映画の製作を開始。小学校映画を9本撮り、辿り着いたテーマは「晩ごはん」。石原の人生の2大テーマは「映画」と「教育」である。

講演歴
01年7月 大東市立四条中学校「将来について」
05年2月 大阪府立野崎高等学校「働くということ」
05年11月 大東市立四条南小学校「映画監督について」
07年7月 大東市立四条中学校「仕事とは〜映画監督〜」

フィルモグラフィ−
04年 『まさしくん』 / 『11才の誕生日』
05年 『ソーダン先生』
06年 『水曜日のスイミング』 第3回CO2オープンコンペ部門入選 / 『色彩の夏』
07年 『Stewed Beef & Potatoes』 第4回CO2オープンコンペ部門入選
08年 『少女と竜王』 / 『ぼくのいちにち』
09年 『共存時代』
10年 『バイオレンス PM』第6回CO2奨励賞(最高賞),技術賞,俳優賞,三冠独占受賞    ドイツ・ハンブルグ映画祭正式上映 /ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011・北海道知事賞受賞    韓国・プチョン国際ファンタスティック映画祭2011・招待上映
12年 『大阪外道』    ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012・グランプリ受賞
韓国・プチョン国際ファンタスティック映画祭2012・招待上映、オランダ・カメラジャパンフェスティバル2012・招待上映
13年 『大阪蛇道〜Snake of Violence〜』『大阪ババア』
15年 『コントロール・オブ・バイオレンス』

■石原バイオレンス(大阪バイオレンス)の原点について /石原 貴洋

少年時代。
好奇心旺盛な少年・石原はいつも飢えていた。毎月のこづかいは0円。お年玉は親に巻き上げられ、
家にテレビゲームはなく、ビデオデッキもなく、映画館に行きたいけど金がない、
親に映画館に連れて行ってもらった記憶もない、そんな環境の中、「想像力」だけが唯一の支えで生きていた。 
小学生当時、劇場公開されていた『ターミネーター2』や『エイリアン3』がどんな内容なのか
見たくて見たくて知りたくて知りたくてしょうがなかったが、叶わなかった。想像するしかなかった。
現在、映画企画が20本以上ある石原の想像力の原点は、この貧しい少年時代のおかげだったのかもしれない。
また大阪の貧乏人を描かせたらピカイチなのも、この頃の経験が大いに役立っている。
貧乏人は工夫するしかないのだ。
菅原文太に憧れていた少年時代。テレビ放映されていた『トラック野郎』や『仁義なき戦い』を
くらいつくように見ていた。『仁義なき戦い』は小学生には難しすぎてサッパリ分からなかったけど、なんとか
理解したくて、あの独特のナレーションと音楽を繰り返し聞きたくて、せっせとカセットテープに録音していた。
それから20年。
長編初監督作品『バイオレンスPM』の企画を推薦してくれたのは『トラック野郎』の鈴木則文監督だった。
鈴木監督は完成した作品を見て「君の映画は庶民の味方だね。大衆性がある」と評価して下さった。
いやいや、鈴木監督、大衆性はあなたから学んだんですよ。
これからも娯楽映画を撮っていきますよ。

■暴力性と優しさについて /石原 貴洋

石原の暴力映画は暴力映画でありながらどこか「愛」があったり「優しさ」があったりします。
『大阪外道』『大阪蛇道』
この2本は特にその傾向が強いです。
これは石原の人生観がそのまま反映されています。
中学時代で大きく道を外し屈折し、破滅に向かってしまいそうな所で不思議とポッと救いがありました。
もしあの時、救いがなかったらと思うとゾッとします。今頃、死んでいたか刑務所の中だろうな、と思います。
暴力と愛は表裏一体の関係で出来ていて、愛が欠落した状態が暴力を生み出し、愛があれば暴力をふるう必要などない、という当たり前のようで難しいのが人間のひとつの真理のような気がします。
苦悩の淵をさまよっていた中学時代、ギリギリの所でブレーキをかけてくれた人がいた。
本気で向かい合ってくれた人がいた。その救いが僕にとって「愛」なんですね。
「あちら側」に行かなくて済んだ身としては、そのキワドイ感覚をちゃんと映画で表現したい、
たったひと言で救われる事もあるし、ちょっとした気配りがその人にとって大きな救いになったりもするので、
そこをメッセージとして込めていきたい、という想いが強いです。
ただの暴力映画だと思って『大阪外道』『大阪蛇道』を見た人がビックリするのが、そこです。
ほとんどの人がこういった感想をくれます。「意外だった。愛のある作品だった」

■なぜ大阪映画(大阪バイオレンス)なのか? /石原 貴洋

正直言って、ほとんどの映画人や映画産業が東京に集中している事が、つまらないなと思っています。
つまらない、と思ってるんだったら自分がパイオニアになればいい、そういう考えで大阪で撮っています。
別に大阪以外では撮らない!って、そこまで頑固になる気はありませんし、東京に仕事でも行きますが、
大阪で撮り続ける監督がいても面白いじゃないか、後輩のさらに若き映画人にとって大阪で撮るという選択肢が増えるのもいいじゃないか、世の中、変わりモンがいた方が面白いじゃないか、という想いでやっています。
「大阪で映画撮ってる奴って誰だろ?」ってなった時に「石原がいるな」ってなったら面白いし、
日本各地にそういう映画監督が多い方が映画にとっても地域にとっても良いと思うのです。
映画産業の地方分権ですね。
映画人=東京という図式が当たり前になりすぎて、大手映画会社の独占状態が生まれるのだと思うし、誰かが違う事をやらないと、この閉塞感は永久に変わらないと思います。
北野武監督の日本アカデミー賞発言も、良い悪いは別にして、日本映画産業の閉塞感の象徴だと思います。

■なぜ暴力を描くのか? /石原 貴洋

暴力を描きたい、という欲望よりも
極端な人間を描きたい、という欲望の方が強いです。
テーマは「人間」、モチーフは「暴力」といったところでしょうか。
「ふつう」の人間を描く事にあまり興味がないのかもしれません。
20代の頃は子供映画の短編を9本撮っていて、子供の純粋な世界にこだわって撮り続けていましたが、
今は真逆のドロドロした人間のアクの部分をあぶり出すような作品ばかり撮っています。
大阪バイオレンス全4本に登場するキャラクターは極端な人間ばかりです。
奇人・変人・狂人特集映画といっても過言ではありません。
「ふつう」に生活する人たちにとって、お化け屋敷を見るような、怖い世界を覗くような、
普段見れない人を見て、あまり聞いた事のない人生を垣間見て、
少しでも人間について考えたり、人生について考えてもらえたら、という想いで暴力映画を撮っています。

上映作品——————–

『コントロール・オブ・バイオレンス』
★ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015 正式上映作品

■石原貴洋の言葉
 極道の血が流れている者は、どう隠していても極道である、自分自身もコントロールがきかない、という
 暴力性のある人間をDNAレベルで描いています。

■解説&物語
 この世には怒らせてはいけない人間がいる。「暴力の血が流れる者はどう隠しても噴出する瞬間がある」という人間の暴力性というテーマに迫った、チンピラVSヤクザの全面抗争映画。世界最速公開!
 チンピラVSヤクザVSギョウザ工場長(山中アラタ)の三つ巴戦!シマの奪い合いが平然と行われる大阪・激戦区。そこでは調子に乗り勢いづいたチンピラ集団が何度も本職ヤクザに奇襲攻撃をかけていた。チンピラ集団を裏で操るのは前科30犯・通称“サブゼロ”(渋川清彦)で仁義もクソもない戦法でヤクザ乗っ取りを企み、東京から大阪へと進出していた。激戦区では、ヤクザも恐れる謎の人物“能面”がうろつく中、抗争は激化し全く関係のないハズのギョウザ工場長が抗争に巻き込まれ、物語はカオスへと突入していく。

■キャスト
山中アラタ、渋川清彦、屋敷紘子、尚玄、木原勝利、海道力也、八神湧、徳丸新作、大瀬誠、大宮将司、
仁科貴、仲谷進、松田尚子、福山俊朗、太田姫子

■スタッフ
撮影/谷康生
音楽/今村左悶
制作/山口理沙
制作/磯部鉄平
録音/杉本崇志
助監督/山口晃三朗
刺青/初代彫政統
特殊メイク・造型物/仲谷進
プロデューサー/林海象
クリエイティブ・プロデューサー/後藤克秀
2015年/84分

『大阪蛇道』
★ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013 招待作品
★ドイツ・ハンブルグ映画祭2014 招待作品

■石原貴洋の言葉
地獄を通過した人間が持つ屈折した暴力を描いています。なぜ強い奴は強いのか、なぜ弱い奴は弱いのか
そして両者に救いはあるのか、幸せとは何のかをテーマにしています。

■解説&物語
 構想10年!「能力とは?」「幸せとは?」をテーマにした過激娯楽大作。暴力と友情の絆を描いた石原貴洋監督の新たな新境地!
 大阪、夏。カナコ、アツシ、ケンジの悪ガキ3人組はいつもつるんでいた。ある日、孤児院に住むケンジはヤクザに売り飛ばされてしまい、3人の友情は強制的に終了してしまう。25年後、カナコ(田畑智子)は主婦に、
アツシ(仁科貴)は無能ヤクザにケンジ(坂口拓)は最強無敵の有能ヤクザになっていた。若頭に出世していたケンジは、誤って関東ヤクザを殺してしまい、関西ヤクザvs関東ヤクザの引き金を作ってしまう。ケンジは手打ちにもっていく和解金、2億円を緊急で用意するため、政治家惨殺という奇策に打って出る!

■キャスト
坂口拓、仁科貴、田畑智子、山中アラタ、木原勝利、片倉わき、児玉菜々子

■スタッフ
製作/澤田直矢
プロデューサー/林海象
クリエイティブ・プロデューサー/後藤克秀
エグゼクティブ・プロデューサー/外川康弘
脚本・編集・監督/石原貴洋
アクション監督/吉武潤
助監督/山口晃三朗
特殊メイク/仲谷進
音楽/今村左悶
撮影/藤本啓太
照明/竹村潤
2013年/110分

『大阪外道』
★ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012 グランプリ受賞
★プチョン国際ファンタスティック映画祭2012 招待作品

■石原貴洋の言葉
愛する者を守るための暴力を描いています。東日本大震災の後すぐに撮ったもので
“ゆとりのある人間に何が出来るのか”“少年よタフになれ”といったテーマを盛り込んでいます。

■解説&物語
 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭・審査員満場一致のグランプリ受賞!暴力でしか自分を表現できない主人公ふたりを中心に、暴力から抜けられない哀しき人々の悲劇を描いた傑作!
 12才の少年マサシが住む大阪の下町にはヤクザも恐れる2大巨頭”外道”と”非道”が存在していた。金の稼ぎ方は最低で、金の使い方は最高の外道。怖いもの知らずで全身猛毒の非道。両者にとって共存共栄の道など微塵もなく外道vs非道vsヤクザの血みどろの火ぶたは切って落とされた!

■スタッフ
脚本・撮影・編集・音響効果・監督/石原貴洋
プロデューサー/林海象
音楽/今村左悶
特殊メイク/仲谷進

■キャスト
大宮将司、彫政統、前野朋哉、片倉わき、木村涼介、仲谷進、上野央、佐波太郎
2012年/82分

『バイオレンスPM』
★CO2・奨励賞・技術賞・俳優賞 3冠独占受賞
★ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011 北海道知事賞受賞

■石原貴洋の言葉
狂犬の暴力人生を描いています。歯止めが効かない一匹狼の暴力ですね。

■解説&物語
 12才でギャンブルを卒業、15才で殺人を卒業、20才で極道を卒業、25才で人生を終了するつもりだった。大阪が産み落とした“バイオレンス映画の新世代監督”石原貴洋のデビュー作!すべてはここから始まった!
 小学生の悪ガキ4人組はいつもつるんでいた。3年後、4人は不良中学生に、特にマサシは極めつけのワルになっていた。ある日、マサシ達はスナックに入ると3年前、自分達を脅したオッサンを偶然発見する。逆上したマサシはオッサンを山に連れ出し制裁を加える。何事もなくやり遂げた制裁はこれが最後、何事もうまくいかない破滅の始まりだった・・・

■キャスト
出演:野中耀博、上野央、正野晃、今西洋貴 
2010年/80分

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=53714

執筆者

デューイ松田デューイ松田デューイ松田デューイ松田デューイ松田デューイ松田デューイ松田デューイ松田