グザヴィエ・ドラン監督最新作『Mommy/マミー』の公式サイト上で、本作を理解する上で非常に重要な要素となる、グザヴィエ・ドランの描写スタイルの凄味が解る約10分間のミニドキュメンタリー、『グザヴィエ・ドランのスタイル』が公開されました。

昨年カンヌ国際映画祭において審査員特別賞を受賞し、審査員長のジェーン・カンピオン監督からも絶賛された“エキサイティングな新世代”、グザヴィエ・ドラン。
過去4作品においても通ずる作風として、世間に苛立ち身近な人たちと対立する主人公の変化を、独特の方法で描写しています。

■インスタグラム・アスペクト(1:1)の秘密とは?
グザヴィエ・ドランの映像技法の一つとして、画角の工夫が挙げられます。
今回採用された1:1のアスペクト比は、主人公の個を強調するポートレイトショットとして有効な画角です。余計なものが足せない分キャラクターが主役になり、観客の視線を集中させることができます。

■画角の変化は登場人物の心の動きとの同調
グザヴィエ・ドランの前作『トム・アット・ザ・ファーム』では、人物の恐怖のピークに合わせて画面の縦幅を狭めていくシーンがあります。
意図的に画角を変化させることで人物の心の動きと観客の心情を同調させる効果をもたらしています。

■ドラン独特の背面ショットは「劇中人物との目線の同一化」
グザヴィエ・ドラン特有の、映像の切り取り方の一つとして、登場人物の背面から撮るショットがあります。
これは、劇中の人物と同じ目線を持つことで、彼らの視点や気持ちを追えるという効果をもたらします。
ちなみに、カンヌ国際映画祭表彰式における象徴的なフォトセッション画像も、ドラン本人は背中を向けています。

■孤立感を表現するカメラと人物の距離
登場人物の思考や願望、特に不安を描く為の手段として、カメラと人物の絶妙な距離感を設けているのも、グザヴィエ・ドラン特有の映像技法と言えます。
玄関や廊下などの空間的要素を駆使しながら、距離感をコントロールすることで、人物の孤独感を描写しています。

その他にも、画面構成やスローモーションの使い方、カメラの視点など、一見ランダムに見えながら実は考え抜かれた表現が使われているグザヴィエ・ドランの作品。
今回公開されるドキュメンタリーは、彼の映像技法や描写方法の凄味が解説されており、グザヴィエ・ドランが映画界の若き救世主と呼ばれる所以が解る内容となっています。

『Mommy/マミー』は、4月25日(土)より
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、
YEBISU GARDEN CINEMA、109シネマズ二子玉川(New Open)、
センチュリーシネマ、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネツイン
ほかにて全国順次公開です。

★映画公式サイト:http://mommy-xdolan.jp/
★予告編:http://youtu.be/OLc9vRvchio
★動画『グザヴィエ・ドランのスタイル』:https://youtu.be/eqFixRJLCqM 

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執筆者

Yasuhiro Togawa