圧倒的な映像と音響で昨年話題となった『リヴァイアサン』を生み出したハーバード大学感覚民族誌学ラボ。彼らは『リヴァイアサン』だけでなく独創的な映像作品を次々に生み出し、名だたる国際映画祭でも高い評価を得てきました。日本で初めて彼らの作品を集め、『ハント・ザ・ワールド』と題して、5 月より、シアター・イメージフォーラムにて一挙公開致します。

人生を変える 旅に出よう
あたらしい世界と出会う。世界をあたらしくまなざす。そんな旅の水先人は世界最高峰の人類学者たち。ハーバード大学感覚民族誌学ラボ(Sensory Ethnography Lab)は、そのフィールドワークからこれまでにない独創的な映画をつぎつぎと生みだしています。それぞれの土地とそこに暮らす人々の歴史や物語をゆたかに織りこんだ彼らの作品は、名だたる国際映画祭で驚きと興奮をもって迎えられ、ニューヨークの MoMA やパリのポンピドゥー・センターでも上映されています。
ニューヨークの裏通りから北大西洋の大海原、険しい尾根をこえて雲の上の聖地へ——未だ知られざる珠玉の作品群が、わたしたちの暮らしや人生を豊かにするちょっとキケンな世界旅行へと誘います。

上映作品
『モンタナ 最後のカウボーイ』*日本初公開
監督:イリーサ・バーバッシュ、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー
2009 年/米/101 分/35 ㎜・デジタル/原題:Sweetgrass
2009 年ベルリン国際映画祭 正式招待
2009 年ニューヨーク映画祭 正式招待
おびただしい羊の群れをひきつれたカウボーイたちが、放牧のためモンタナ州ベアトゥース山脈を縦走する。広大な緑の渓谷、雪に覆われた大地、忍びよるグリズリー。危険にみちた 250 キロの冒険。アメリカン・カウボーイの歴史の終焉にたちあった非感傷的なエレジー。製作者の強い希望で字幕を映画作家の想田和弘が監修した。

『ニューヨーク ジャンクヤード』*日本初公開
監督:ヴェレナ・パラヴェル、J.P.シニァデツキ
2010 年/米、仏/80 分/デジタル/原題:Foreign Parts
2010 年ロカルノ国際映画祭 最優秀初長編審査員特別賞、
2010 年ニューヨーク映画祭 正式招待
NYメッツの新球場「シティ・フィールド」のまわりには、自動車部品のジャンクヤードがひろがっている。移民たちの陽気な歌声とバーベキューの煙。グレーな仕事で稼ぐカップル、友人たちに毎日小銭をせがんで生活する老女。再開発のため、やがて消えゆく街でたくましく生きる愛すべき人々に、豊かな暮らしのヒントを貰う。

『マナカマナ 雲上の巡礼』*日本初公開
監督:ステファニー・スプレイ、パチョ・ヴェレズ
2013 年/ネパール、米/118 分/デジタル/原題:MANAKAMANA
2013 年ロカルノ国際映画祭 現代の映画人部門 金豹賞
2013 年ロカルノ国際映画祭 最優秀初長編作品特別賞
ネパールのジャングルの奥深く、ヒマラヤを望むヒンドゥー教の聖地マナカマナ寺院は雲上にたたずむ。巡礼者たちは、かつて 3 時間かけた山道を今は片道 10 分のケーブルカーで登る。映画はその道のりをワンカットで切り取っていく。浮遊するカプセルのなかの人間模様と窓外にひろがる大自然とが奏でる壮麗なシンフォニー。

『リヴァイアサン』*2014 年劇場公開
監督:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシャン・キャステーヌ=テイラー
2012 年/米、仏、英/87 分/デジタル/原題:Leviathan
2012 年ロカルノ国際映画祭 国際映画批評家連盟賞
2013 年ベルリン国際映画祭 正式招待
ニューベッドフォード——かつて世界の捕鯨の中心であり、メルヴィルの『白鯨』をインスパイアした港町を出航するトロール船アテーナ号。危険で過酷な漁は数週間にわたり、船は漆黒の海をゆく。観るもののド肝を抜く、圧倒的な映像と音響が描くのは、わたしたち人類の野蛮さそのもの。それはあまりにも美しい黙示録の体験である。

【ハーバード大学「感覚民俗誌学研究所」Sensory Ethnography Lab】
美学と民族誌学との革新的なコラボレーションをおしすすめるハーバード大学の実験的なラボラトリー。
アナログとデジタルメディアを組み合わせた研究プロジェクトの成果として、映画、ヴィデオアート、音響、写真、インスタレーション作品を発表している。
『モンタナ 最後のカウボーイ』(原題:Sweetgrass)、『リヴァイアサン』(原題:Leviathan)の監督であり、人類学者のルーシァン・キャステーヌ=テイラーがデイレクターをつとめる。

関連作品

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa