この度、実にキャリア55年!「池中玄太80キロ」シリーズや「点と線」などで知られるドラマ演出の巨匠石橋冠監督による映画監督デビュー作『人生の約束』が製作されることが発表され、話題を集めております。主演は竹野内豊で富山県・射水市の新湊曳山まつりを舞台にすべてを失った男の再生を描く物語で、江口洋介、西田敏行、ビートたけしら豪華キャスト陣が共演する人間ドラマとなります。

そして本作で新湊の地元の漁師を演じる江口洋介は役者人生30年の中で超・短髪に!!

石橋冠監督とは、「なぜ君は絶望と闘えたのか」(10/WOWOW)でタッグを組んだ江口洋介。実際の母子殺害事件を追った原作をもとに、フィクションを交えて描き、文化庁芸術祭賞大賞を受賞したこのドラマは、自分の中でも記憶に残る作品のひとつになっていると言う。
その石橋監督が初めて映画を撮ると聞いたのは、約3年前、『人生の約束』の舞台でもある新湊でのことだった。(以下「」部分は江口洋介によるコメントです。)

「たまたま別の映画の撮影で長期間富山にいたとき、撮影の合間に監督が陣中見舞いにきてくれて、そのまま新湊までドライブに行ったんです。新湊の名所的な場所をいろいろ見せて貰ってる時、“この町を舞台に映画を撮りたい”とおっしゃったんですよ。当時は構想だけの状態でしたが、町や河や路地なんかを歩きながら、“この場所をこう撮りたい!”というようなお話を聞いているうち、自分も参加できたらという気持ちに自然となりました。日本のヴェニスとも言われる新湊・内川の風景の中で、石橋冠監督が、人と人とのつながりをテーマにした映画を撮る。監督が撮る、情緒たっぷりで、愛のある映画の中で、自分も何かを表現してみたいと思ったんです。後日、もう一度新湊を訪れて、曳山まつりを見ました。大きな提灯が飾られた提灯山は、特にすばらしく美しかったです」

こうして脚本も読まずに江口は出演を決めた。2年後、脚本が上がり、オファーされたのは漁師であり四十物町の曳山総代を務める渡辺鉄也役であった。2015年2月には再度新湊に出向き、漁師の仕事の様子を見学。今回の撮影にも協力している漁師の番屋(※漁に出るための基地的な場所)を訪れ、生活ぶりや漁に関する様々な話を聞きながら、役柄についてのイメージを膨らませた。短髪にしたのも自らのアイディア。町で角刈りの男性を多く見かけたことがきっかけだと言う。江口にとってこれほど短い髪型は人生初のことである。
「実は最初に切ってから、クランクインを待つ間に、もっと大胆に切った方がいいなと思い始め、二度目の散髪をして、さらに短くなりました。クランクインまでもっと日があれば、もっと短くなっていたかもしれないですね(笑)。鉄也は、曳山総代で、何人もの漁師たちを抱える親方で、自分の妹の子供まで引き取って暮らしている。毎日を必死に生きているだろうとイメージすると、シンプルな髪型の方が鉄也らしいと思ったんです。監督に見て貰ったら、“これはいいね!”と気に入ってくださいました。」
 撮影の空き時間には自転車で町を走ったり、地元の人と話し込んだりして、役にすっかりなじんでいる様子だ。

一方、鉄也とは水と油的存在で、東京でIT関連企業のCEOを務める仕事人間・中原祐馬役を演じるのは、今回が初共演となる竹野内豊。物語を通じて、二人の関係がどう変わっていかも本作の見どころである。
 

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa