『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』や『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、数々の傑作ドキュメンタリー映画を手掛けてきた巨匠ヴィム・ヴェンダースの最新作、『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(夏Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開)は、第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされました。今年古希を迎えるヴェンダース監督、初のオスカー受賞なるか!!発表は現地時間2月22日(日本時間2月23日)。

今回、ヴェンダース監督がスポットをあてるブラジル出身の写真家セバスチャン・サルガドは、30代から写真を撮り始めて以来40年間、世界中を飛び回り、何年も要するプロジェクト作品を数多く発表して来ました。モノクロを基調とする彼の作品は常に人間を捉え、死、破壊、腐敗といった根源的なテーマが扱われます。それらは写真と呼ぶにはあまりにも美しく、荘厳であるがゆえに、サルガドは“神の眼”を持つ写真家とも呼ばれています。
そんなサルガドが2004年から始めたプロジェクト「Genesis(ジェネシス)」。地球上の最も美しい場所を求め、ガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠など12カ国余りで撮影された作品は、熱気球から撮られた水牛の群れ、遊牧民のネネツ族のシベリア横断、サンドイッチ諸島での“ペンギンの楽園”など、生と死が極限に交わる、誰も見たことがない圧巻の風景が写し出されます。本作はこのプロジェクトに同行したサルガドの息子ジュリアーノとヴェンダース監督の2人のクリエイターの視点から、唯一無二の写真家の足跡を解き明かしていく壮大なドキュメントです。

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執筆者

Yasuhiro Togawa