かつては観光地として栄えていた海辺の町を舞台に、
かき氷の店を開くために帰郷したまり と 大切な人を亡くしたはじめちゃん
2人の女性の交流を描いた ひと夏の物語

よしもとばなな原作×菊池亜希子主演で贈る最新作『海のふた』(監督:豊島圭介)の映画情報が初解禁となりますので、ご報告させて頂きます。本作は、かつては観光地として栄えていた海辺の町を舞台に2人の女性を通して、平凡な日常を生きることの切なさ、悲しみ、喜び、発見、心の再生を描いた物語です。

【原作:よしもとばなな】
■コメント
「私の第二のふるさと土肥が美しく撮られていて、いつも家族で歩いた場所ですばらしい人たちが真摯に演技をしている、それだけでもう幸せ! よしもとばなな」

【菊池亜希子(きくち あきこ)】
■コメント
・本作のオファーを受けた時の印象はいかがでしたか?また、原作・台本を読まれた際のご感想をお聞かせください。

マネージャーから本を渡されたのが最初でした。
映画化するという詳しい話は聞いていなくて、、
余計なことを考えずにフラットな気持ちで読みました。
水を飲むかのように、体がごくごくと言葉を飲むような感覚。
すごく自分の体の中にある成分と近い物語だと感じました。

この物語が映画化されると聞いて、
嬉しいのはもちろんだけどそれよりも、
あまりにも肌の合うこの作品に自分が出演するという事実を
ストンと体全体で受け止めた感じです。

・まりの役作りはどのようにされましたでしょうか。共感する部分はありましたか?

 上でお話したような感覚だったので、私自身と「まり」は、
 共感という言葉ではおさまらない重なり方をしていました。
 心の奥の深い部分でしっかりと繋がっていたような気がします。
 まりが感じていることは、そのまま私が感じていることでした。
 だから、役づくりという作業は必要なかったです。

・現場の雰囲気やエピソードがあればお教え下さい。

 はじめ役の三根さんとは、いろんな話をしました。
 最初は共通の話題があまりなくてどうしたもんかと思っていたけど、
 (まさに、劇中のまりとはじめのよう 笑)
 だんだんと、少しずつ心を開いてくれるのが感じられて、
単純に嬉しかったし、かわいいなあと感じていました。

・完成した映画をご覧になられていかがでしたか?

自分がスクリーンの中いるという感覚はなく、私の中からするすると生まれたまりが、
そこに生きているなあという感じで、なんだか不思議な感覚でした。

・メッセージをお願いいたします

心から好きだと思えることがある。 
全てをなげうって、そのために生きる決意をする。
それは、決してやさしいことではない。きれいごとでは済ませられないこともいっぱいある。
それでも、そうやって生きると決める。

この映画は、女の子の夢物語なんかでは決してなく、日々の営みに対する讃歌のような映画です。
土地ときちんとつながること。
人ときちんと向き合うこと。
それが、生きるということ。

見たらきっと、体の中にある大切な何かがキンと響くはず。
かき氷を食べたときの、染みるけど愛おしいような、あの感じ。
是非、味わいにきてください。

【三根 梓(みね あずさ)】
■コメント
・本作品のオファーを受けた時の印象はいかがでしたか?
はじめちゃんは、少女のような、大人のような、ひとあらざる者のような、いろんな顔をもつ女の子で、そんな魅力的な役に挑戦できることが嬉しく、気合が入りました。

・原作、台本を読まれた際のご感想をお聞かせください。
撮影に入る前まで、あまり海で遊んだり泳いだりしたことがなかったので、海が、はじめやまりにどう接してくれるのだろう??と現場に入るのがとても楽しみでした。

・今回、顔にも心にも傷を負った難しい役どころでしたが、演じてみていかがでしたか?
自分の頭の中に、はじめ像はできていたのですが、それを体現しようとするとなかなかうまくいかず、すごく苦しかったし、悩みました。ですから自分ひとりで考えこむのをやめて、監督とたくさん話をするようにしたり、菊池さんのお芝居をしっかりみて、その時感じたものを大切にするようにしました。そう心がけているうちに少しずつはじめが自分の中におちていったように思います。

・完成した映画をご覧になられていかがでしたか?
土肥の穏やかな空気感が作品全体に流れていて、そっと寄り添ってくれるようなやさしい作品だなあ、と思いました。

・メッセージをお願いいたします。
心や、からだがふわっと軽くなるような、心地よくて優しい気持ちになれる映画です。そして、演じる、ということを改めてじっくり考えさせてもらい、挑戦した役ですので、是非たくさんの方に観ていただきたいです。

【豊島圭介(とよしま けいすけ)監督】
■コメント
・なぜ、本作を映画化しようと思ったのですか?
プロデューサーの越川さんは高校の先輩でもあり、僕の劇場公開デビュー(『明るい場所』@テアトル新宿)に尽力してくれた方。その人に、よしもとばななさんの「海のふた」を映画化してみないかと誘われたことがきっかけでした。女の子ふたりの友情ともつかない不思議な関係の物語、夢をかなえることはキレイゴトだけではすまないんだよというテーマに惹かれました。映像化には非常にチャレンジングな題材なので燃えました。
 
・菊池さん、三根さんの印象をお聞かせください。
菊池さんは聡明でバランス感覚がいい印象ですが、その下にマグマのような激情が流れているような気がします。
三根さんはマジメで不器用ですが、獣のようなどう猛さが溢れている人です。

・現場ではどのような演出をされましたか?
現場ではどれだけ俳優の「本人らしさ」と「演じている意識」みたいなものを近づけられるか、ということに挑戦していた気がします。

・現場でのエピソード、撮影で苦労した点があればお教え下さい。
 おいしそうなかき氷をどう作るか、がポイントのひとつでした。埜庵の石附さんが道具から削りの指導から内容面に至るまで全面的に協力してくださったおかげで、本当に美味しそうなかき氷を写すことができました。現場中、お昼時にふるまってくださったかき氷の味は忘れられないです。

・メッセージをお願いいたします。
もともとアウトドアな人間ではないのですが、西伊豆の「海の力」みたいなものに当てられた瞬間がありました。菊池さん演じるまりが海に浮いているカットを見ながら、なぜだかもの凄く感動するという経験をしました。映画にそれが映っているといいなあと思います。

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執筆者

Yasuhiro Togawa