2000 年代後半から現在に至るまで、12 万人の犠牲者を生んだと言われるメキシコの麻薬戦争。それは麻薬組織間の抗争だけでなく、軍や警察、また一般人をも巻き込み、まさに”戦国時代“と言える様相を呈している。年間 3000 件という膨大な数の殺人事件の捜査に日々追われ、大量の未解決の証拠品に、なす術もなく埋もれるシウダー・フアレスの警察官リチ・ソトと、麻薬ボスたちの武勇伝を歌う過激な音楽「ナルコ・コリード」で、若者を中心に熱狂的な人気を誇る歌手エドガー・キンテロ。二人の男の物語を中心に、その狂気の世界の全貌が描かれる。メキシコ麻薬戦争という想像を絶する暴力に満ちた世界を、ロバート・キャパ賞受賞の戦場フォト・ジャーナリストが怜悧に描き出す傑作ドキュメンタリー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa