先日発表された、第87回アカデミー賞®にて『アリスのままで』[6/27(土)公開]のジュリアン・ムーアに主演女優賞をもたらした、監督・脚色を担当した、リチャード・グラッツァー氏(63歳)が、米時間の3月10日に、4年間の闘病の末に、ALS(筋委縮性側索硬化症)のために亡くなりました。 グラッツァー氏は2011年にALSと診断をされながらも、本作品の製作に取り組み、現場では、i-Padを用いてスタッフやキャストへの指示を出しながらの撮影となっていました。 本作は、監督・脚色を手掛けた公私ともにパートナーである、ウォッシュ・ウェストモアランドとの共同作業で完成をさせると共に、まさにグラッツァー監督は、そんな状況下でありながら、若年性アルツハイマー病を患うジュリアン・ムーア演じるアリスを、自身に置き換えて描いた渾身の映画となっています。 
グラッツァー監督は、 1952年1月28日に生まれ、ロングアイランドで育ち、ヴァージニア大学を卒業したグラッツァーは、人生のパートナーでもあるウォッシュ・ウェストモアランドと共同で、サンダンス映画祭でグランプリ(審査員大賞)と観客賞の同時受賞を果たした『Quinceañera』(06)、トロント国際映画祭で称賛された『The Last of Robin Hood』(13)などの脚本・監督を手掛けています。
リチャード・グラッツァー監督の逝去に際し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

※各コメント
全米の配給会社のソニークラシックの共同経営者である、マイケル・ベーカー、トム・バーナード両氏からは、
「たぐいまれな才能を持つ彼と共に働き、彼を知る全ての人にとって、大いなる喪失だ」。
パートナーのウォッシュ・ウェストモアランド監督は
「非常にショックを受けている。リッチと私はソウルメイトであり、共同製作者であり、親友であり、私の人生でもあった。
この4年間、彼のALSとの闘いを見守り、私だけではなく、彼を知る全ての人がその品位と勇気に刺激を受けた。「この苦しい時の中、『アリスのままで』を世界に送り出す機会を得たことは、安らぎでもあった。彼はこの映画に全身全霊をかけて打ち込み、こんなにもたくさんの人々を感動させたことは彼にとって喜びだったと思う」とコメントを出した。

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執筆者

Yasuhiro Togawa