1958 年 12 月 19 日、史上最高の歌姫として世界中の注目を集めていたマリア・カラスは、満を持してパリ・オペラ座にデビューした。客席にはフランス大統領をはじめ、ブリジッド・バルドー、ジュリエット・グレコ、チャールズ・チャップリン、ジャン・コクトーなど、綺羅星のようなセレブリティがずらりと並び、劇場の外にも歌姫を一目見ようと々が詰めかけた。本作はその伝説的なガラ・コンサートの全てを撮影したライブ映像で、現存するアーカイヴ映像中、最も完全な形で絶頂期のマリア・カラスの姿を伝えるものである。

特にコンサート後半に上演される歌劇「トスカ」の第二幕は、カラスが残した唯一のオペラ上演映像※で、1950年代の 10 年間に凝縮されるカラスの最盛期の舞台を今に伝える貴重なものである。(※他には引退状態となる前年、1964 年に演じた同幕の映像があるのみ。)

半世紀を経て、今回世界で初めて劇場公開されるのは、序曲演奏などを含めたコンサートの全貌を明らかにする完全版。リマスター音声で、全盛期のカラスの歌と演技をたっぷりと楽しむことができる。

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執筆者

Yasuhiro Togawa