ファスビンダー主演×シュレンドルフ監督×ブレヒト原作

44年間封印されていた幻の傑作『バール』ドイツ映画特集で上映!

映画ファンなら見逃せない“幻の映画”。20世紀を代表するドイツの劇作家ブレヒトが、20歳で書いた最初の戯曲「バール」。その戯曲を、現在『シャトーブリアンからの手紙』もヒット中のフォルカー・シュレンドルフ監督が、1970年に映画化。主演はなんと、鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。長らくブレヒトの遺族の意向で上映が禁止されていた“幻の映画”が、44年の時を経て「ドイツ映画特集2014」で本邦初上映されます。

当時、長編第一作『テルレスの青春』(66)で一躍ニュージャーマン・シネマの旗手となったフォルカー・シュレンドルフ監督は、テレビ局の依頼で劇映画の製作に着手しました。シュレンドルフが原作に選んだのは、『三文オペラ』などで知られる世界的な劇作家ベルトルト・ブレヒトが、20歳で書いた最初の戯曲「バール」。主演には、後にニュージャーマン・シネマきっての鬼才監督となるライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。共演には、今では『ハンナ・アーレント』の監督として有名ですが、当時はまだ女優として活躍し、後にシュレンドルフと結婚することになるマルガレーテ・フォン・トロッタと、後にファスビンダー映画のミューズとなる伝説の女優ハンナ・シグラです。しかし、1970年に完成した映画は、人々の目に触れることはありませんでした。一説によると、ブレヒト亡き後、権利を保有していたブレヒトの妻がファスビンダー演じるバールのあまりの放埒さに衝撃を受け、一切のテレビ放映・上映を禁止してしまったと言います。それから44年。長き封印の後、ブレヒト夫人の死去により権利を受け継いだブレヒトの娘は、この作品の映画史における重要性を認め、デジタル化にも同意。今年2014年2月のベルリン国際映画祭でデジタル・リマスター版として、ついに初上映にいたりました。これから30歳になろうとするシュレンドルフ監督と、24、5歳の若さだったファスビンダー。フォン・トロッタも27歳、シグラもまだ26歳。まさにニュージャーマン・シネマの若々しく荒々しい情熱が溢れた必見の問題作です。

現在公開中の『シャトーブリアンからの手紙』もヒット中で、来年3月には最新作『パリよ、永遠に』も公開され、74歳にして自ら“今がルネッサンス”と語るシュレンドルフ監督の、若く荒削りな才能の輝きを見る楽しみもあるでしょう。

ぜひ「ドイツ映画祭2014」でご覧下さい。

ドイツ映画特集 2014 11月19日(水)〜11月22日(土)ドイツ文化会館ホール■『バール』 監督:フォルカー・シュレンドルフ 脚本:フォルカー・シュレンドルフ(ベルトルト・ブレヒトの戯曲に基づく)撮影:ディートリヒ・ローマン 

出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、シギ・グラウエ、マルガレーテ・フォン・トロッタ、ハンナ・シグラ、イルム・ヘルマン 『バール』上映日11月21日(金)16:00&11月22日(土)18:00 

*その他の上映作品:『警察官の妻』『ゲーテなんてクソくらえ』『西という希望の地』 お問い合わせ:東京ドイツ文化センター 03-3584-3201

シャトーブリアンからの手紙 絶賛公開中:シアター・イメージフォーラム(渋谷)、名演小劇場(名古屋)

11/15(土)より:テアトル梅田(大阪)他全国順次公開

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa