突然の銃乱射事件で息子を亡くし、息子が遺した楽曲を歌い継ごうとする父親。そしてその歌に魅了されたミュージシャン志望の青年。音楽を通じて巡り合った、親子ほど歳の離れた男2人の再生と成長を描いた人間ドラマが誕生した。

本作で監督デビューを飾ったのは『ファーゴ』や『マグノリア』での味のある存在感で知られる名優ウィリアム・H・メイシー。長年撮影現場で生きてきた経験と演技からもにじみ出るペーソスとユーモアを活かし、良質な人間ドラマと音楽を見事に融合させてみせた。ストレートな感動だけでなく、衝撃的な“秘密”を持った秀逸な脚本を書き上げたのは、インディーズ界注目の新進コンビ、ジェフ・ロビンソンとケイシー・トウェンター。主演は『ビッグ・フィッシュ』のビリー・クラダップ。彼のギターの腕前は『あの頃、ペニー・レインと』で披露しているが、本作でもクエンティン役のアントン・イェルチンと共に吹替えなしで歌とギターを担当。その他『スプリング・ブレイカーズ』のセレーナ・ゴメス、『トランスアメリカ』でオスカー候補になりメイシーの妻でもあるフェリシティ・ハフマンらが脇を固める。音楽を奏でる喜びに包まれる演奏シーンの数々、そしてすべての人に語りかけるようなクラダップの歌声に、誰もが魅了されずにはいられない。

キービジュアルではビリー・クラダップ演じる主人公・サムがギターを手に熱唱する本編中でも印象的なシーンを大きく使用し、「男には、それが生きるすべてになった。」というコピーとともにドラマティックな結末を想起させるものとなっている。
また、予告編のナレーションは人気声優の藤原啓治が担当。これまでに、ロバート・ダウニーJrをはじめとした数々の洋画吹き替え声優を務めている。「クレヨンしんちゃん」シリーズの野原ひろしや、「鋼の錬金術師」シリーズのマース・ヒューズなど多数の人気作品で父親役を演じる機会も多く、彼のやさしさのこもったナレーションが予告編に深みを与えている。

予告編::http://youtu.be/Z1VcZCcqPsU

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執筆者

Yasuhiro Togawa