その弁護士はある殺人事件の犯人だった。三上博史、染谷将太、リリー・フランキー共演で、“贖罪”の意味を問う。

2009年に「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説作家・中山七里のミステリーをドラマ化。「贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」は、生きる意味、贖罪の意味を問う法廷ミステリーで、中山原作小説の連続ドラマ化は初となる。メガホンを取ったのは、WOWOWドラマを初めて手掛けた青山真治。2000年に『EUREKA ユリイカ』で第53回カンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞とエキュメニック賞をW受賞、2011年に『東京公園』、2013年に『共喰い』と立て続けにロカルノ国際映画祭での受賞を果たすなど、国際的に活躍する映画監督だ。
主演は「連続ドラマW 震える牛」の熱演も記憶に新しい三上博史。また、役者としても異彩を放つWOWOWドラマ初出演のリリー・フランキーや、2011年に『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を受賞した実力派若手俳優の染谷将太が出演する。

◆三上博史さん(御子柴礼司役)コメント◆
①「連続ドラマW 贖罪の奏鳴曲」へのご出演が決まった時の気持ち
今回初めて青山真治さんがWOWOWの連続ドラマを監督されるということで、「何かが、起こる!!」と、すぐに手を挙げました。参加させていただけることが、とても光栄です。
以前、ご一緒させていただいた、映画「月の砂漠」(2001年)から13年経ちました。
二人でカンヌのレッドカーペットを歩いた、とても思い出深い作品でしたので、「次はどんな作品を一緒にできるのだろう」と、たびたび飲みの席で話していたのですが、まさかWOWOWの連続ドラマでご一緒できるとは、思ってもいませんでした。
また、二人で「悪巧み」ができると、モチベーションが上がっています。

②今回演じられる、弁護士・御子柴礼司の印象
原作、脚本も読ませていただいて、通常のドラマでしたら、弁護士だったり刑事だったりが事件を推理していく構成だと思うのですが、今回は私が演じる弁護士には過去に殺人を犯したという背景があって、単なる謎解きの案内人ではありません。
そこに難しさもあり、演じ甲斐もあり、一筋縄ではいかないお話しだなぁ、と思います。
(今回演じる御子柴は)所謂、正義の味方ではありません。
ちょっとひねた、鼻持ちならない弁護士ですが、人一倍弱さも持ち合わせている。
個人的な思いから、切れ者の推理がずれていくところも、面白いところでしょう。

③本作の見どころ
青山組の「凄さ」が随所に出ているので、楽しんでいただけると思います。
僕自身、ずっと、心待ちにしていた、リリーさんや、染谷さんとの初共演もお楽しみに。

◆青山真治監督コメント◆
三上さんとは十数年ぶりの仕事です。プライベートではそれ以来何度もお会いしていまどういうことがやりたいかはお互いによくわかっているわけですが。何しろぼくの世代の最大のスター俳優の一人であり、かつ研ぎ澄まされたアーティストですから、一筋縄ではいきません。しかしキャメラの前に立った瞬間、これほど繊細な表情をなさるのか、主役を張るとはこういうことか、と改めて驚かされ、感動させられます。ともに仕事をするパートナーとしてはベストの一人です。この現場でも御子柴というきわめて特異なキャラクターをどう造型するか、二人でああでもないこうでもないと悪戦苦闘の日々です。ヒントは三上さんの心身にすべて宿っているのです。

◆原作者・中山七里さんコメント◆
生来がひねくれ者であるため、小説を書く際には「映像化できるものならやってみろ」と思いながら筆を進めます。
自ずと映像化には不向きなトリックを仕掛けたり、センシティブな問題を扱ったりすることが多くなります。
『贖罪の奏鳴曲』もその例に洩れず、まず映像化は不可能だろうと悦に入っていました。従ってWOWOWさんからドラマ化の話をいただいた時、一番驚いたのはおそらくわたしだったでしょう。ともあれこのドラマに関わったスタッフ・キャストの皆さんには脱帽せざるを得ません。

執筆者

Yasuhiro Togawa