今年で11回目を迎える「ノルディック映画賞(NORDIC COUNCIL FILM PRIZE 2014)」は、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5ヶ国から優れた1作品が選ばれる映画賞。過去にアキ・カウリスマキ監督の「過去のない男」や、去年はデンマークのトマス・ヴィンターベア監督作「偽りなき者」が受賞している。
今年も各国を代表して、デンマークのラース・フォン・トリアー監督の問題作「ニンフォマニアック」など国内外でも高く評価され、北欧文化に根づいた北欧ならではの題材を、芸術的かつ独創的に表現した作品がノミネートされるなか、アイスランド映画の『馬々と人間たち』が見事、今年2014年の北欧映画のナンバーワンの座を勝ち取った。
受賞理由としては以下のコメントが述べられている。
「ベネディクト・エルリングソン監督は、編集と音楽でパワフルな映像を組み立て、映画そのものが自然の力として際立つ様に仕立てあげた。馬と人間たちとの原初の深い結びつきを示した。動物の視点を使って人々の悲喜劇的な行動を描いたことが 『馬々と人間たち』に独特のリリシズムとブラックユーモアを与えている。」

本映画賞の過去10回のうち、デンマーク映画の受賞が5回、スウェーデンが4回、フィンランドが1回で、今回の『馬々と人間たち』受賞でアイスランド映画としては初の快挙となる。
本映画賞受賞で評価されたベネディクト・エルリングソン監督は、アイスランド演劇界で最も成功を収めている人気演出家で満を持して本作で長編監督デビューを果たし、演劇で磨きをかけた独特のユーモアのセンスを遺憾なく発揮している。プロデューサーのフリズリク・ソール・フリズリクソンは、日本でも劇場公開され多くのファンをもつ名作『春にして君を想う』(91)の監督として世界的に知られる名匠。永瀬正敏主演の『コールド・フィーバー』(95)の監督でもあり、日本との縁も深い映画作家である。

公開は、<東京>シアター・イメージフォーラムにて11月1日より上映。
11月15日より<名古屋>名演小劇場、<長野>シネマポイントにて、12月より<大阪>テアトル梅田にて、順次公開で<北海道>シアターキノ、<山形>フォーラム山形、<宮城>フォーラム仙台、<京都>京都シネマ、<兵庫>元町映画館、が決定している。

第11回「ノルディック映画賞(NORDIC COUNCIL FILM PRIZE 2014)」ノミネート作品
■デンマーク
「ニンフォマニアック NYMPHOMANIAC(原題:Nymphomaniac)」日本公開中
監督/脚本:Lars von Trier、プロデューサー:Louise Vesth
■フィンランド
「CONCRETE NIGHT(原題:Betoniyo)」
監督/脚本:Pirjo Honkasalo、脚本:Pirkko Saisio、プロデューサー:Mark Lwoff、Misha Jaari
■アイスランド 
「馬々と人間たち OF HORSES AND MEN(原題:Hross i oss)」11月1日より日本公開
監督/脚本:Benedikt Erlingsson、プロデューサー:Fridrik Tor Fridriksson
■ノルウェー
「BLIND(原題:BLIND)」
監督/脚本:Eskil Vogt、プロデューサー:Sigve Endresen、Hans Jorgen Osnes
■スウェーデン
「ツーリスト FORCE MAJEURE(原題:Turist)」今年の東京国際映画祭上映
監督/脚本:Ruben Ostlund、プロデューサー:Erik Hemmendorff、Marie Kjellson

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執筆者

Yasuhiro Togawa