「新たな地球の支配者が決する瞬間」=「新世紀」を描く究極のディザスター・アクション超大作『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が、大ヒット上映中だ。スケールの大きなアクションやスペクタクルもさることながら、人類と猿のそれぞれの深いドラマが観客に深い感銘を与え、世界各地でセンセーションを巻き起こしている。この度、“猿俳優”たちのプロ根性が垣間見える事実が明らかになった。

 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのゴラム役などで名高いアンディ・サーキスが、前作に続いてシーザーを演じた本作。サーキスは役作りとして、1970年代に話題となった直立歩行が好きな本物のチンパンジー、オリバーをまねた。サーキスは彼にならって、シーザー役に「猿の姿をした人間」としてアプローチした。そんなサーキスは、『キング・コング』のコングを体現した際に入れ歯を付けて演じ、前作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』でも、猿役の俳優たちも皆、入れ歯を付けて演じた。しかし、口が前に突きだすので、唇を閉じる時に無理矢理に唇を合わせることになり、少し扱い難くなり、今作では小さなマウスガードを付けて演じた。

シーザーの右腕的な存在で、猿コミュニティの将軍コバを演じたトビーケベルは『戦火の馬』のようなアクション・アドベンチャー映画に出演しているが、今回が初のモーション・キャプチャー経験となった。「モーション・キャプチャーよりも猿らしく歩く練習のほうがずっとハードだった」と明かす。動物園へ出向いたり、やYouTubeを見て猿の動きを学んだという。猿は「鼻が平たいから、鼻をかく時はなでおろすような感じだ」2、3ヶ月をセットで過ごした彼は、猿らしい動きをごく自然にやってみせる。これは、「朝食をとる時も、携帯電話の画面を見る時も」腰をかがめた姿勢をとり続けた成果だという。

“猿の惑星”シリーズがこれほど長く愛されている理由を、リーヴス監督は、明らかな隠喩の力にあると言う。「猿は我々人間だからね。」2歳の息子を見ていてヒントを手にした監督は、クルーが自分の子供たちをセットに連れてきた時には、すぐに校庭のシーンに子供を出演させ、その後、2歳の息子にモーション・キャプチャーのスーツを着せてカメラを回し続けた。「子供たちは猿のいい見本だったよ」と振り返る。

極限のドラマと壮絶なアクションの完璧なる融合を実現した本作。荒唐無稽なSFでもファンタジーでもなく、徹底的にリアルな迫真性を追求した映像世界は、まさしく映画の“新世紀”到来を告げる画期的作品だと言えるだろう。

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執筆者

Yasuhiro Togawa