9月27日(土)より新宿ピカデリー他にて全国公開する『ファーナス/訣別の朝』。メガホンをとったのは『クレイジー・ハート』(09)でアカデミー賞®をはじめ数々の賞に輝いた期待の新鋭スコット・クーパー。製作にはレオナルド・ディカプリオ、リドリー・スコットとビッグネームが名を連ねる。主人公ラッセルを演じるのは『ダークナイト』のバットマンで一躍世界に名をとどろかしたクリスチャン・ベイル。家族、恋人を失い絶望の淵に追い込まれる男の孤独な戦いを描いた極上のアメリカン・クライムドラマの傑作が遂に日本に上陸する。
この度、『ファーナス/訣別の朝』でクリスチャン・ベイル演じる主人公ラッセル・ベイズの場面写真を一挙に解禁させていただくこととなりました。

アカデミー賞®とゴールデン・グローブ賞®の助演男優賞の受賞経験もある演技力はもちろん、徹底した役作りでも有名なクリスチャン・ベイル。『ダークナイト』(08)では鍛え上げられた肉体でダークヒーローを演じ、『ザ・ファイター』(10)では約13キロの減量に加え、髪型や歯並びまでも変える徹底ぶりでコカイン中毒の元ボクサーになり、オスカーに輝いた。また、冒頭から観客を唖然とさせた『アメリカン・ハッスル』(13)では、103キロまで増量した体型でハゲの中年詐欺師になりきった。

本作でベイルが演じるのは、これまでの特徴あるキャラクターとは打って変わり、寂れた町の製鉄所で働く寡黙な男ラッセル・ベイズ。真剣なまなざしとどこか影のあるベイルの表情。今回公開された場面写真からは、年老いて寝たきりの父、ギャンブルに手を出し借金を抱える軍人の弟の面倒をみながら、閉鎖寸前の製鉄所で働く実直な男が内に秘める闇が感じられる。
徹底したこだわりで新しいキャラクターを演じ続けるベイルは、「実は、撮影中も役作りのプロセスの一部だと感じている。もちろん、可能なかぎり準備した状態で、現場にやってくるべきだ。でも、その場でなにが起きるのか予測するのは不可能だし、あらかじめすべてを把握してしまったら、現場で楽しむことなんてできない。だから、映画の撮影中も準備を続けていくべきだと思っている。それにより、新しいことを発見したり、取り入れていくことができる。ぼくには具体的な準備のやり方があるわけじゃない。レッスンを受けたこともない。実際、これまでに演じた役すべてで、頭を抱えている。こんな役なんて演じられない。いったい、どこから始めたらいいんだ、と。その状態から、ちょっとずつ発見を重ね、それまでに培った演技法をぶちこわして、新たなものを作り上げていく。毎回がそうなんだ。必要なものはなんでも利用する。コメディでも音楽でも、取材でも、自分の記憶でも、読んだ本でもなんでも。なぜなら、どれが役に立つかわからないからね。実際、ヒントは予想もしないところからやってくるものなんだ。」と、常にギリギリまで自分を追い込んでいくのだと言う。

現状に満足することなく、常に前進し、日常の出来事をも吸収しようとする徹底した姿勢が、多くの名優に共演を望まれ、スコット・クーパー監督も絶賛する本作の演技にもつながっている。本作で製作を務めたリドリー・スコットと監督と俳優としてタッグを組み、オスカー有力候補とも言われている『エクソダス:神と王』(2015年1月30日公開)ではエジプト王国の王家の養子モーゼ役を演じるなど、今後さらなる活躍が期待されるクリスチャン・ベイルの見事な役作りを、是非劇場でご覧いただきたい。

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執筆者

Yasuhiro Togawa