今、社会派から枠にとらわれない奇想天外なものまで様々に展開され注目を集めている「現代アート」。
なかでも特に注目を集めている【若手現代美術家・加藤翼(30)】のアメリカでのアート・プロジェクトを追いかけたドキュメタリー映画が完成し、今冬、劇場公開が決まりました。

本作は、映像制作40年以上の歴史を持つグループ現代が、ATPテレビ製作社連盟の支援を受け制作、12月の世界人権デー(日本では人権週間)にあわせて一週間限定で劇場公開するものです。

2013 年、現代美術家の加藤翼はアメリカ—スタンディングロック・インディアン居留地にいた。

加藤は 2008 年より、世界各地で“引き倒し(ひきたおし)”あるいは“引き興し(ひきおこし)”と呼ばれる参加型のアートプロジェクトを多数行っている。このアートの過程は至ってシンプル。数人では動かないような巨大なオブジェを作り、それを大勢の人々と一緒に引っ張り起こしたり、倒したりするというもの。しかし、そのオブジェは、その土地に纏わる象徴的な何かであり、制作から引っ張り人に至るまで、その土地で行う。その場で協力者や材料も調達していくという、正に〝そこにいる人々が参加することで成立する”アートだ。

そして今回、加藤が挑むテーマはアメリカ。
ネイティブ・アメリカンと呼ばれる彼らと、その土地で協力を仰ぎながらプロジェクトを開始する。それは、民族が古来より受け継がれる文化と自然との交感を呼びさますと同時に、二度と思い出したくない迫害の忌まわしい記憶にも向き合うことになるのであった。

関連作品

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執筆者

Yasuhiro Togawa