この度、2012年ヴェネチア国際映画祭にて『嘆きのピエタ』で金獅子賞を受賞した鬼才キム・ギドク監督最新作にして、映画史上最も壮絶なヒューマンドラマである映画『メビウス』の日本公開が決定致しました。第70回ヴェネチア国際映画祭で初お披露目となり、その過激な性描写から本国韓国でも上映制限がされた超問題作です。日本での上映もR18+指定となりました。

『悪い男』、『受取人不明』などキム・ギドクの初期作品に出演し、ギドクのペルソナと呼び声の高いチョ・ジェヒョンが不貞な夫を演じ、女優人生をかけて本作への出演を決めたイ・ウヌが浮気な夫への嫉妬に憑りつかれた狂気の母、さらには父の浮気相手である妖艶な女を一人二役の体当たり演技で魅せ、韓国映画界の新星ソ・ヨンジュが性器を切り取られてしまい苦悩する息子を演じます。本作は全編にわたりセリフが一切なく、「笑う」、「泣く」、「叫ぶ」の3つの要素のみで紡がれる「性」と「家族」と「人間」の物語となっております。

この度、本作の狂気に満ちた壮絶すぎるビジュアルが解禁となります。インパクトが強い大きなメビウスの輪の中にいるのはイ・ウヌ演じる母。狂気に満ち満ちた表情で見つめる眼差しの向こうには何があるのだろうか。キム・ギドクの初期作品から出演しているチョ・ジェヒョンが怪しく拳銃を象徴的に握りしめる父、中央で大胆に足を開くのは母と一人二役でイ・ウヌが演じ分ける女、さらに韓国の新星ソ・ヨンジュが上半身裸で恍惚の表情を浮かべる息子になっている。そして、メビウスの輪の中にあしらわれた「人間の業が、廻る。」のキャッチコピーには登場人物たちが表裏一体に交錯する意が含まれている。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=51958

執筆者

Yasuhiro Togawa