台湾映画界の巨匠ツァイ・ミンリャン監督引退作
郊遊<ピクニック>
2013ヴェネチア国際映画祭審査員大賞受賞/2013金馬奨 最優秀監督賞・最優秀主演男優賞受賞

9月6日(土)より、シアター・イメージフォーラムシネ・リーブル梅田他全国順次公開!!

現代の台北。果てなき孤独と、子供たちの純粋な光の交差。
『河』『愛情萬歳』の巨匠、最後の傑作。

台北の片隅。ピクニックのように漂流する父と子。
父と、幼い息子と娘。水道も電気もない空き家に三人で眠る。父は、不動産広告の看板を掲げて路上に立ち続ける「人間立て看板」で、わずかな金を稼ぎ、子供たちは試食を目当てにスーパーマーケットの食品売り場をうろつく。そんな貧しい暮らしでも、子供たちには、まるで郊外に遊ぶピクニックのよう。だが、どしゃ降りの雨の夜、父はある決意をする……。癒されぬ人間の孤独と、子供たちの純粋なきらめきが美しく切なく交差する。

ワン・カット、ワン・カットに物語が立ち上がる豊饒なる映像。
2013年、ヴェネチア国際映画祭で突然発表されたツァイ・ミンリャン監督の引退。最後の劇場長編となる本作は、まさに監督の集大成。主演はツァイ作品の顔であるリー・カンション。その作品を支えて来た3人の女優も揃って出演している。デジタルの美を追求した映像と豊饒な音。映画史に残る驚異的な長回しのラストシーンにいたるまで、ワン・カット、ワン・カットに物語が立ち上がり、まさに「ここまで来た」と感嘆せずにいられない傑作である。

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執筆者

Yasuhiro Togawa