公開前から難解だ、この映画の答えは何だ!?と物議を醸していたミステリー映画『複製された男』は、映画業界初となるネタバレ投稿が可能な袋とじページを公式HPに作るなど、画期的な宣伝手法でも話題を呼んでいる。映画は7月18日から公開され、ミステリーファンのみならず広く観客を動員し、満席が続出するヒットスタートとなっているが、観客が増えるにつれ、新たな混乱が噴出している。

映画の原作は、ポルトガル唯一のノーベル賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴの長編小説として2002年「O Homem Duplicado」として発表された。その後の2004年には英語タイトル「TheDouble」として発表され、世界23カ国で翻訳された。

日本では2012年に「複製された男」として彩流社より発売されたが、このタイトルは、ポルトガル語タイトル「O Homem Duplicado」を直訳したものである。小説は大変高い評価を得て、2013年に気鋭のカナダ人の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴにより映画化され、英語タイトル「EMEMY」として公開された。そして、この度の日本公開時の邦題は、原作と同じポルトガル語のタイトルの直訳『複製された男』。答えが分からないことが観客をさらに惹きつけるという、不思議な形で話題になっている映画だけに、パンフレットや原作本の売行きもよく、観客は『複製された男』の答えを求めて映画の英語タイトル「ENEMY」、や原作本のポルトガルタイトルなどにもヒントを求めている状況だ。

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執筆者

Yasuhiro Togawa