2011年に大ヒットを記録した映画『しあわせのパン』の三島有紀子監督と主演の大泉洋が再び組んだ最新作『ぶどうのなみだ』が、第38回モントリオール世界映画祭のワールド・グレイツ部門に出品されることが決定し、あわせて新ポスタービジュアルも公開された。

北海道、空知(そらち)。兄のアオはワインをつくり、ひとまわり年の離れた弟のロクは小麦を育てている。そんなある日、キャンピングカーに乗ったひとりの旅人が、突然ふたりの目の前に現われた。エリカと名乗る不思議な輝きを放つ彼女は、アオとロクの静かな生活に新しい風を吹き込んでいく——。今回公開された新ポスタービジュアルでは、北海道の大自然を象徴するように、一面に広がる葡萄畑と青い空にかかる虹がとても印象的。また、その下に配置されたアオ、ロク、エリカ3人の表情には、それぞれの想いや個性が込められており、本作のドラマ感が伝わるビジュアルとなっている。なお、本ポスターは7/19(土)より全国の上映劇場にて掲出を予定しており、7/26(土)より前売り券が発売される。

今回の映画祭出品の朗報を受け、「喜びと感謝の心でいっぱい」と語る三島監督にとって、海外の映画祭出品はこれで二度目。長編初監督作品となった前作『しあわせのパン』は、公開翌年の2012年に第2回北京国際映画祭のパノラマ部門に正式出品にされ、物語の繊細さや演出力が高く評価された。そして今回、世界中のファンが注目する三島監督の最新作としての期待度に加え、北海道の大自然の中でワインの醸造に励む主人公アオを見事に演じた大泉洋と、ミステリアスな魅力たっぷりに不思議な旅人エリカを演じた安藤裕子の演技力に、モントリオール世界映画祭の作品選定ディレクターが惚れ込み今回の出品が決まった。

8月21日から9月1日の映画祭期間中に現地入りする予定の三島監督からコメントも寄せられ、「この作品が海を渡って、モントリオールで世界のみなさんに見ていただけることは、監督として最上の幸せであり、同時にどこまで何が伝わるのか怖くもあります。英語タイトルはa drop of the grapevineにしてあります。

〝そのぶどうの木からこぼれる一雫(ひとしずく)〟に込めたいろんな意味が、俳優たちの演じた繊細な心の機微によって、伝わればと願っています。北海道の大地に生きる、不器用な男と女の挫折と再生、そして家族への想いを描いた〝大人の寓話〟がどう受け取られるのか、とても楽しみです」と期待をのぞかせた。

モントリオール世界映画祭は1977年に開始されたカナダ最古の国際映画祭のひとつ。毎年8月にケベック州のモントリオールで開催され、国際映画製作者連盟 (FIAPF)が公認するコンペティション形式の映画祭。本映画祭と同様に国際映画製作者連盟公認のトロント国際映画祭とは一線を画し、商業作品ではなく文化や伝統に注目した作品が多く上映されている。昨年のワールド・グレイツ部門では三谷幸喜監督の『清須会議』が出品され、今年は本作のほか、石井裕也監督、妻夫木聡主演の『ぼくたちの家族』の出品が決定している。

『ぶどうのなみだ』は10月4日より北海道先行、10月11日より全国公開。

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執筆者

Yasuhiro Togawa