『ゴジラ』の映画音楽等で知られる日本作曲界の巨匠・伊福部昭の生誕100周年、そしてゴジラ生誕60周年を迎えた2014年、多くの演奏会や企画が行われている中、東宝SF特撮怪獣映画音楽を交響曲にまとめ上げた「SF交響ファンタジー」の配信が決定した。7月16日より、iTunes Store、mora、music.jp、Amazon、レコチョクで配信となる。

■『SF交響ファンタジー』シリーズについて
1947年以来、伊福部は、約300本にも及ぶ映画のために作曲している。彼は、伊藤大輔、稲垣浩、渋谷実、田坂具隆、千葉泰樹、吉村公三郎、新藤兼人、関川秀雄、谷口千吉、森一生、三隅研次、市川崑、中平康、田中徳三、熊井啓といった監督たちと、よくコンビを組んだし、スタンバーグ、黒澤明、成瀬巳喜男、衣笠貞之介、牛原虚彦、内田吐夢、滝沢英輔、中川信夫、今井正、増村保造、岡本喜八らとも仕事をした。
だが、そうした、名匠、巨匠たちとの仕事以上に、映画音楽家、伊福部の名を際立たせているのは、一連の東宝SF怪獣映画のための音楽だろう。彼は、『ゴジラ』(1954年、本多猪四郎監督)を皮切りに、この分野の作品、20本強に作曲し、その音楽は、怪獣映画ファンの熱狂的な支持を受けている。
その理由となれば、辺境の土俗のヴァイタリティーを強調し、都会的、現代的なエレメントを拒絶する、伊福部の音楽と、原始的、土俗的なものの化身として登場し、都市や近代文明を破壊する、ゴジラ等の怪獣の姿とが、完全にシンクロナイズしてしまったからとしか、いいようがない。
さて、『SF交響ファンタジー』3部作は、そんな伊福部の怪獣映画音楽の数々を、作曲者自ら、フル・オーケストラのために、メドレー風に編曲したものだ。彼は、映画音楽を映画と切り離して演奏するのは、邪道と考えていたから、本来、この編作を引き受けたくはなかった。が、結局、怪獣映画ファンの長年の熱意——『ゴジラ』等の音楽を是が非ともコンサート・ホールで聴きたいとの熱意に負けてしまったのである。
この3部作は、1983年8月、<伊福部昭:SF特撮映画音楽の夕べ>で、まとめて初演された。

(文:片山素秀 『伊福部昭の芸術4 宙−伊福部昭 SF交響ファンタジー』
CDブックレット(KICC-178)より)

★配信サイト情報

<レコチョク>
http://recochoku.jp/album/A1000708211/

<iTunes Store>
https://itunes.apple.com/jp/album/yi-fu-bu-zhaono-yun-shu4-zhou/id893041218

<mora>
http://mora.jp/package/43000014/KICC-178/

<music.jp>
http://store.music.jp/Artist/455409/Album/aaa2t65t

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執筆者

Yasuhiro Togawa