2014年、生誕100年を迎え、伊福部昭百年紀シリーズなど数々のコンサート、TV、ラジオ、出版、あらゆるメディアで話題沸騰の作曲家 伊福部昭。その映画での業績を振り返る。 著者は7月6日のNHKBSプレミアムで『伊福部昭の映画音楽』から引用もされたゴジラ音楽・伊福部音楽研究者である小林淳。 A5判・ハードカバー・408ページの書き下ろし。 伊福部昭を通して見る戦後映画『伊福部昭と戦後日本映画』(小林淳著)

「ゴジラ」をはじめとする特撮映画の音楽で知られる作曲家・伊福部昭。
今年は、伊福部の生誕100 年、ゴジラ60 年で改めて注目されている。
しかし、伊福部が関わったのは特撮映画だけではない。
東 宝、東映、大映、松竹、日活、そして独立プロと、映画界を横断し、黒澤明、市川崑、三隅研次、今井正、熊井啓、新藤兼人、吉村公三郎、本多猪四郎、三船敏 郎、勝新太郎、中村錦之助、市川雷蔵、石原裕次郎ら、巨匠・名優たちとともに、映画作りに参画した、戦後最大の映画人のひとりだった。伊福部研究の第一人 者が書き下ろす、伊福部昭を通して見る、戦後映画史の大著。
2014年、伊福部昭生誕100年を迎え、「伊福部昭百年紀」シリーズを筆頭に数々のコンサート、TV、ラジオ特番、出版などあらゆるメディアで話題沸騰の伊福部昭の映画音楽の業績を振り返る。

目次 はじめに——伊福部昭の道程

第一章 伊福部昭と映画音楽
一 伊福部昭と映画の出会い  
二 伊福部映画音楽のフォーム
三 伊福部映画音楽の位置づけ

第二章 東宝映画と伊福部映画音楽
一 東宝の成立と映画音楽作曲家・伊福部昭の誕生
二 映画音楽デビューを飾った『銀嶺の果て』
三 映画音楽作曲家として歩みだした時代の響き 
四 谷口千吉と千葉泰樹の映画にかぶさった伊福部映画音楽
五 東宝人間ドラマ映画を彩った伊福部リリシズム  
六 伊福部昭と『ゴジラ』
七 伊福部SF特撮怪獣映画のとどろきと形態 
八 豪放かつ繊細な鳴りが共存した伊福部東宝時代劇映画音楽
九 一九七〇年代初期の東宝カラーに融け込んで  
十 『銀嶺の果て』から三十年、再び『銀嶺の果て』へ

第三章 大映映画と伊福部映画音楽
一 大映誕生の産声とともに
二 黒澤明、伊藤大輔、吉村公三郎、新藤兼人との仕事を経て
三 大映東京プログラム・ピクチャー映画を彩った響き
四 大映京都時代劇映画で展開した音楽演出
五 伊福部昭と『釈迦』
六 大映京都特撮映画の傑作群を奏で上げたサウンド
七 座頭市の孤独感と流浪の悲哀をうたった伊福部ボレロ
八 大映京都時代劇映画の終焉に合わせて

第四章 東映映画と伊福部映画音楽
一 東横映画を端緒として
二 関川秀雄との濃厚なる協同作業
三 東映の匠たちとの仕事のなかで
四 中村錦之助主演作を担った音楽フォーム
五 『わんぱく王子の大蛇退治』から再び関川秀雄へ

第五章 日活映画と伊福部映画音楽
一 日活の誕生、製作再開の時代へ
二 伊福部と日活を引き合わせた近代映画協会
三 一九五〇年代日活カラーの一端を担った響き
四 『ビルマの竪琴』と日活活劇映画隆盛期のなかで
五 中平康と伊福部の音楽的呼吸感
六 伊福部の日活を象徴する二本の熊井啓監督作

第六章 松竹映画と伊福部映画音楽
一 松竹映画の成立と〈松竹大船調〉の確立
二 大庭秀雄とのいくつかの仕事を通して
三 一九五〇年代、伊福部松竹大船映画音楽の鳴り
四 〈松竹ヌーヴェル・ヴァーグ〉の果ての松竹映画から聞こえた伊福部映画音楽

第七章 独立映画プロダクションと伊福部映画音楽
一 吉村公三郎と新藤兼人の気概と執念
二 伊福部昭と『原爆の子』
三 近代映画協会作品における伊福部映画音楽のきわだち
四 世界的巨匠監督との一期一会
五 現代ぷろだくしょん作品における伊福部映画音楽演出
六 関川秀雄の熱き想いを音楽表現した作品群
七 埋もれた映画たちの息吹を奏でて

第八章 ドキュメンタリー・文化映画と伊福部映画音楽
一 ドキュメンタリー映画会社の戦後の歩みとともに
二 伊福部昭と岩波映画製作所の邂逅
三 岩波映画製作所の発展と高村武次の台頭
四 高村武次監督作を筆頭として
五 機械への共感と北の大地への想い、ドキュメンタリー映画音楽担当者として
六 一九九〇年代に鳴りわたった伊福部ドキュメンタリー映画音楽

あとがき 参考文献一覧 伊福部昭創作品リスト5 伊福部昭 映画作品 映画会社別リスト 映画作品名索引 人名索引

http://www.alphabeta-cj.co.jp/20/20c_38.html

【叢書・20 世紀の芸術と文学】
『伊福部昭と戦後日本映画』
小林 淳(こばやし あつし)【著】 
A5判・上製・408 頁
定価・本体3800 円(税込4104円)
ISBN 978-4-87198-585-7  C0373

●小林淳(こばやし・あつし)
1958年、東京生まれ。日本映画・外国映画にかかわる文筆活動を行う。映画から流れてくる音楽類の映像・作劇における効用形態を一つのテーマに据える。『日本映画音楽の巨星たち』『伊福部昭 音楽と映像の交響』『伊福部昭綴る』他、著作多数。
https://twitter.com/atsi_kobayashi

小林淳が委員を務める「伊福部昭百年紀コンサート」は
http://3scd.web.fc2.com/
からどうぞ。
史。

執筆者

Yasuhiro Togawa