知性を兼ね備えた絶世の美女にして往年の名女優、イングリット・バーグマンのDNAを受け継いで 
 ハリウッドきっての名女優として映画史に名を残す、イングリット・バーグマン。スウェーデンからハリウッドに進出し、その類まれな美貌と演技力で『カサブランカ』、『誰が為に鐘は鳴る』、『追想』、『秋のソナタ』など、数々の名画に出演した名女優と、イタリアを代表する名監督ロベルト・ロッセーリーニと間に生まれた映画的サラブレットがイザべラ・ロッセリーニだ。母譲りのノーブルな美貌で、モデルを経て『ホワイトナイツ/白夜』への出演で話題を呼び、デイヴィッド・リンチ監督のカルト的人気作『ブルーベルベット』で主演女優を務め、女優としての知名度を世界的なものにした。

世界の有名監督や俳優を虜にした美貌!

 女優としての知名度が上がったことでモデルを続けにくくなり、映画の世界へ活躍の場を移したイザベラは、その美貌で多くの有名な男性たちを虜にした。『タクシードライバー』、『ギャング・オブ・ニューヨーク』などで知られるアメリカきっての名匠マーティン・スコセッシ監督との結婚、アート映画界の雄、デイヴィッド・リンチ監督との恋愛、個性派俳優ゲイリー・オールドマンとの婚約など華やかな恋愛遍歴でもマスコミをにぎわし、フランスの化粧品メーカー、ランコムのミューズとしても長く活躍していた。
  
美貌女優の母親役は、意外にもはまり役!?

 映画界でその才能が最も注目を浴びているカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは、最新作『複製された男』で、ジェイク・ギレンホール演じる主人公の母親役にイザベラを起用した。年齢設定としては30代半ばくらいの息子をもつ母親役を演じるイザベラは、かっぷくがよく見える衣装で、息子を叱咤激励するしっかり者の母親役を演じているが、かねてより小さな役でもヴィルヌーヴ監督と仕事をしたい、と思っていたという彼女は、出演オファーの電話に快諾したと言う。また息子役のジェイクを叱りつけるシーンの撮影では「すでに皆が顔なじみになっている撮影現場に最後に現れて、息子を指さして強い語気で話すのは、恥ずかしいのだけれど、初めて会ったジェイクはスターなのに物腰が柔らかく、私を安心させてくれた」とエピソードを語った。今年公開された『ラヴレース』でアマンダ・セイフライドの厳しい母親を演じてお色気を封印したシャロン・ストーンに続き、美貌で知られるハリウッドの熟女たちは、年齢相応の役へのシフトチェンジも器用にこなし、さすがの貫録を見せつける。ハリウッド女優達の若さを追いかけない、年輪を感じさせる「顔」を日本の女優達にも見習ってほしい!?

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=52073

執筆者

Yasuhiro Togawa