この度、2004年の刊行依頼、全世界で400万部を突破した「リスボンへの夜行列車」の初の映画化『リスボンに誘われて(原題:Night Train To Lisbon) 』が今秋Bunkamuraル・シネマ他にて全国ロードショーの運びとなりました。
 偶然ポルトガルの古本を手に入れたスイスの古典文献学教師ライムント。心揺さぶられ、すっかりその本の虜になった彼は、謎の著者アマデウ・デ・プラドを追うように、仕事も何も投げうって衝動的にリスボンへ旅立った。旅先でアマデウの家族や友人を訪ね歩くにつれて、徐々に明らかになる彼の素顔や人生は、やがてライムント自身の人生を変えていく−
 ポルトガルの首都リスボンを舞台に、世界中で愛されている名著を映像の中で見事に蘇らせています。路面電車や坂道、色とりどりの建物と路地など…西ヨーロッパ最古の街の美しい風景は、観る者の心を旅に駆り立てるでしょう。
 1冊の本に導かれるようにリスボンを訪れ、“本物の人生”を見つけていく主人公ライムント・グレゴリウスに、イギリスを代表する名優 ジェレミー・アイアンズ。ライムントを魅了する本の著者アマデウ・デ・プラドを演じるのは、第71回ゴールデングローブ賞作品賞に輝いた『アメリカン・ハッスル』(13)でも注目されたジャック・ヒューストン。アマデウと運命的な恋に落ちるエステファニアには、フランス若手実力派女優のメラニー・ロラン。更に、シャーロット・ランプリング、ブルーノ・ガンツ、レナ・オリン、クリストファー・リーなど、欧州のスターキャストが顔を揃えました。そして、監督は『ペレ』(88)、『愛の風景』(92)で2度カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、その後も『愛と精霊の家』(94)や『マンデラの名もなき看守』(07)など名作を送りだしてきた名匠ビレ・アウグストでございます。 
 そして、本作の予告編がついに解禁となりました。
 民主化運動、魂でつながった友情、運命的な恋、現在と過去の物語を交錯させた見事なストーリーが垣間見られる映像となっています。
 また、ストーリーだけではなく、陽光あふれる美しいリスボンの街が映像で広がっており、テージョ川の河口に広がる街の、石畳の道路や行き交う路面電車など、ノスタルジックな街並みにうっとりさせられます。夕日に染まった街並みや、過去を生きる男が水辺で遠くをみつめるカットでのオレンジ色が予告編をとても印象づけています。
 そして予告編の締めくくりに刻まれるのは、「心の旅」、「サボテンの花」、「青春の影」など数々の名曲を生み出したミュージシャン財津和夫氏からのコメントです。映画好きの財津氏が、本作を心から気に入り、寄稿に至りました。
 それはまるで映画から切り取った台詞のように心に染み入る深い言葉となっています。
 財津氏のコメントでも言及している、主人公の旅の終りに待っている一言が、本作のラストシーンを彩ります。

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執筆者

Yasuhiro Togawa