DIR EN GREY/sukekiyoのヴォーカリストである京が、4月下旬にプロモーション来日していた映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーと対談していたことが明らかになった。

日本では6月に自身の未完の大作の制作過程を追ったドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』、7月に23年ぶりの新作『リアリティのダンス』が連続公開されるホドロフスキー監督は御年85歳。1929年にチリで生まれ、1970年にジョン・レノンやアンディ・ウォーホルも惚れ込んだ伝説の映画『エル・トポ』を発表。その後も『ホーリー・マウンテン』(1973年)、『サンタ・サングレ/聖なる血』(1989年)など独創的な作品を発表し、カルト映画界の巨匠として世界中で熱狂的なファンを獲得している。

音楽活動にとどまらず、ソロとして詩集、写真集、絵、イラストを発表し、幅広い表現活動を行なう京もホドロフスキー監督の『ホーリー・マウンテン』に衝撃を受け、価値観を変えられたひとり。かねてからテレビや雑誌の取材で、ホドロフスキー監督の名前と作品を挙げ、監督の魅力に迫るフリーペーパー『ホドロフスキー新聞 VOL.1』にも新作に対し「期待すら失礼なので、自由なホドロフスキーを感じさせてください」と愛あふれるコメントを寄せ、大ファンであることを公言してきた。

対談では、京が作品から多大な影響を受けてきたことを伝えると、ホドロフスキー監督は「あなたがミュージシャンということで、私はとてもうれしいです。というのも、私は音楽にとても助けられたから」と笑顔で答え、世界中のミュージシャンやファンが自分の創作活動を支えてくれていること、ロック音楽と自身の作品は常に関係があったことに触れ、「商業的ではないロックは自由をちゃんと表現している。そこが好きです」と語った。

さらにデビュー当時から一貫して人間や自然界の「痛み」をテーマに歌い続け、表現の自由や偏見と闘い続けてきた京に対し、ホドロフスキー監督は、自分自身との闘いに勝つこと、失敗も一つの選択であるとアドバイス。「もしあなたが真実を持っていれば産業はあなたに対抗してきます。なぜなら、みんな真実は隠したいからです。でも、それを殺すことはできません。真実というのは必ず浮かび上がってくるから。なので、忍耐強く待ってください」と激励した。

憧れのホドロスキー監督と対談した京は、「新たな目標が出来ました、ありがとうございます」とコメントしている。

孤高の巨匠と異端のミュージシャンによる貴重な対談は、6月10日(火)発売「Rolling Stone 日本版」7月号に掲載される。

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執筆者

Yasuhiro Togawa