ショウゲート配給にて、佐々木蔵之介、永作博美W 主演『夫婦フーフー日記』の映画化が決定いたしました。本年4月26日(土)にクランクイン、5月17 日(土)にクランクアップを迎えました。

原作は、闘病ブログから生まれた「がんフーフー日記」(小学館刊)。「ダンナ」ことライターの清水浩司が、長年友人だった書店員の「ヨメ」と、出会って17 年目にして結婚、1ヵ月後に妊娠発覚。その5ヵ月後にはヨメに悪性腫瘍が発覚し、怒涛の育児と闘病生活を送っていく。そんなドラマのような夫婦の、493 日の日々の記録は、川崎フーフの名でアメーバブログに投稿されると、闘病ブログとして人気を博し、2011 年に書籍化。さらには、2012 年3月にNHK BS プレミアムにて、ドキュメンタリードラマ『ヨメとダンナの493 日〜おもろい夫婦の「がんフーフー日記」〜』として放映。夫婦の実話に日本中があたたかい涙に包まれました。

多方面で話題となった原作を映画化するにあたり、<死んだはずのヨメと残されたダンナが、夫婦の軌跡を振り返
る>という大胆な設定を加えることで、ブログには書かれなかった夫婦の想い、そして家族の愛を浮き立たせ、笑って泣ける、かつて無いストーリーを作り上げました。

本作で主演を務めるのは佐々木蔵之介。ヨメを亡くし、残された赤ん坊を抱えて、育児と仕事に奔走するダンナ、
という役どころ。最愛の人の死に直面するも、突然目の前に現れた“死んだはずのヨメ”と共に、夫婦で過ごしてきた日々を振り返り、徐々にヨメの死を受け入れていくさまを、コミカルに、そして繊細に演じます。

同じく主演を務めるのは永作博美。愛情深くダンナを支え、亡くなった後も、ダンナの前に幻影として現れるヨメ
を演じます。結婚・妊娠と幸せの絶頂で悪性腫瘍が発覚するも、最期まで明るく、力強く生きぬく生前のヨメと、ダンナの前に突如現れる死んだはずのヨメ、という2つの姿を演じ、女優としての真価を見せつけます。10 年ぶりに再共演を果たし、息の合った掛け合いを見せる実力派俳優のふたりが、家族の物語を紡ぎます。

監督は、今後の日本映画界を担う期待の若手・前田弘二。『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』に続き、本作が劇場公開3作品目となります。脚本は、『藁の盾』『永遠の0』など話題作が続く林民夫。前田監督とともに、実在する夫婦の物語にフィクションを加えるという大胆な脚本構成で、本作の個性を際立たせました。

永作博美コメント

 初めて読ませてもらった時点でとても新鮮な作品に感じました。是非演らせてほしいと。しかし始まってみたらやはり、一筋縄にはゆかず毎日のように難易度の高さを感じつつも、ライトな痛快観も忘れるわけにはゆかず、結構悩み、走り抜いた感じです。でも、きっと今までに無い新しい作品になったと感じています。
佐々木さんは変わらず、男らしい、丁寧なお芝居をされていて安心感がありました。ボケやツッコミ等のシーンでは大変勉強になり、感謝です。笑。
前田監督はイメージがしっかりと出来上がっている分でしょうか。向かう方向にぶれが無いように思いました。脚本もやられてますからね。その点では安心していました。が…監督の投げる球がこれまで見たことがない方向から来る事があり、戸惑いも多かったのも確かです。これもまた大変勉強になり感謝しています。ありがとうございました。

佐々木蔵之介オフィシャルコメント

Q:脚本から読み取ったダンナというキャラクター象は?

苦しいこと絶望的なことが起こっているんですが、台本はすごく楽しく読めて、それはいいことだと思ったんですよね。とは言っても、辛いことや悲しいことがあるなかで、それでも妻と日常を過ごしていく、家族や友人たちと過ごしていく、自分自身も仕事があるなかで(その事実を受け止めて)生きていかなくてはならないんです。ダンナにとっては“書くこと”で日常を保てていたんじゃないかなと。そうやって(ブログに)ユーモアを交えて書くことで、気持ちを整理して、希望を見つけていくんです。ただ単に悲しんでいたり苦しんでいたりする話ではなく、昔の自分たち、過去の自分たちを現在の自分たちがちょっとツッコミながら、ちょっと引き離した視点で見ているのも、救われているのかなぁと思いました。

Q:ダンナとヨメの関係性について、佐々木さんが感じたものは?

17年間ともだちで、よく知っていて、ようやく夫婦になったと思ったら怒濤の出来事の連続で……というストーリー。映画では(死んだ)ヨメが出てくるんです。それはダンナの幻想かもしれないんですけど、昔の、生きている頃のヨメが蘇ってくるというのが、何だかヨメ“らしさ”なのかなぁと思うんですよね。最初にヨメを見たときはハンバーガーを頬張っていて、最後に見たのもハンバーガーを食べているところで、再び現れたときもハンバーガーという(笑)、ヨメらしさが統一されていて、いいですよね。そんなヨメだからこそ、フーフー言いながら(病気と)戦えたというか。ダンナもヨメもウエットにならず、ダンナはブログを書いて、ヨメはヨメでカラッとしているように見せている。そうやって支え合っていったのかなと思います。

Q:佐々木さんと永作さんとの息はぴったり! あの夫婦の間合いやテンポ感はどうやって作っていったのでしょう?

あんまりベタベタしてもいけないし、あんまりウエットにもなっちゃいけないと思って。ある程度カラッとしているのがこの夫婦らしさだと思いました。カラッとしているから、お互いにツッコミ合える。永作さんも同じような感覚で演じていると思います。最初は17年間、彼女に告白できずにウジウジしているっぽくしているけれど、途中からはヨメにいろいろ言われてもかわし方が上手くなっていくというか。この夫婦って、実はすごく絆があるけれど、ちょっとドライで、ちょっと達観しているように見えるんです。そんな感じを見せられたのは、永作さんだからこそですね。

Q:これまでの撮影のなかで、このヨメが印象的だったなぁとか、忘れられないなというシーンはどこですか?

ちょっと待って。今、思い出しますね……。って、話は変わるんですけど、この撮影、怒濤すぎますわ(苦笑)。ほんとに怒濤で、キャスト&スタッフが「フーフー」言ってましたから(笑)。朝から晩までずーっと出っぱなし。ここまでの怒濤の撮影はなかなかないです。総スケを見たときに、目まいがしたんですよ(笑)、なんじゃこりゃーと思いました。で、ヨメの印象的なシーンですよね。もしも自分の妻が(いたとして)癌になって余命を宣告されたら、それを知ったときから妻の言葉はすべて遺言のように刻まれていくし、彼女の言うことすべてを叶えてあげたいと思う。だから、やっぱりヨメの“すべて”の言動になってしまいますね。

Q:怒濤の撮影の中心にいた前田監督についても感想を聞かせてください。

過去のダンナ、現在のダンナ、それぞれのダンナの気持ちを、いったいどんな距離感で演じたらいいのか、どんなふうにアプローチしていけばいいのか、はじめの頃はつかみきれずにいたので、なかなかOKがでなくて。でも、監督は明確にそれを把握しているので、指示を仰いでいました。撮影を重ねていきながらも、過去を見ている現在の自分たちが、どのくらい引いて客観視して見たらいいのか、そのバランスは監督と相談をしていました。

Q:すべてが大変だったとは思いますが、そのなかで一番大変だったのは?

ペ〜との芝居も大変ではありましたね(笑)。やっとペ〜と仲良くなったなぁ、これで本番大丈夫かなぁと思っても、やっぱり本番で泣いちゃったりとか、ありましたからね。面白いのが、ペ〜ちゃんご本人は、一番最初に現場に入ったとき「何?この殺気?」と、現場の慌ただしさを察知して泣いていたと思うんです。それが、徐々に僕らもペ〜ちゃんも慣れてくると「おっ、これから現場が始まるな」っていうのが分かるんです。で、その空気を感じ取ると泣き出す(笑)。撮影は「いやじゃー!」と(笑)。なので、現場の状況を理解しだした後半の方が大変だったかもしれないです。最初はマイクとかカメラとか見たことのない機材に興味を持っていたけれど、後半になると、マイクが見えた時点で「こっから仕事だ……」って思って泣くんです。一瞬のすきをついての撮影でしたね(笑)。

Q:どんな映画に仕上がると思いますか? 何を伝えたいですか?

映画のなかで、ダンナがKZOさんに「俺……ずっと、一緒にいてもいいですかね、ヨメと」というセリフがあって、KZOさんが「……ああ、いたきゃ好きなだけ一緒にいろ。じーさんばーさんになるまでな」って答えるシーンがあるんです。そのシーンから感じたのは、ヨメとダンナの2人、ペ〜も入れて3人のこの家族が、もーれつに生きた期間は、ふり返ってみれば大変だったと思うけれど、もーれつに生きた2人が描かれているにも関わらず、それでもけっこう前向きに楽しさを感じる映画になっていること。それって、いいなぁと思うんです。撮影も怒濤で本当に苦しかったけれど、笑いの絶えない現場でしたしね。絶望も苦しみも悲しみもあるけど、希望に満ちている。そんな夫婦と家族の話、ぜひ劇場で観てほしいです。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa