日本最高峰の富士山(3776メートル)と世界最高峰のエベレスト(8848メートル)が、登山者が残すごみや地球温暖化など共通の問題に取り組むため「姉妹山」提携をした。3日、登山家の野口健さんが理事長を務める、環境NPO「セブンサミッツ持続社会機構」やネパール山岳協会などが覚書に調印した。

 今回の提携は、去年、富士山が世界文化遺産に登録されたことをきっかけに、野口さんがネパールの団体に提案したということで、エベレストが姉妹山の提携を結ぶのは初めてだそうだ。野口さんは「富士山の外国人客は増えており、ごみ問題などエベレストの取り組みから学ぶところもある。協力して山を守りたい」と述べた。シェルパ会長も「このような提携が結べて光栄」と歓迎した。

 シェルパ会長によると、エベレストでは深刻化するごみ問題に対応するため、登山者は下山時に重さ8キロ分のごみを拾うよう義務付けている。一方、富士山クラブが過去10年に富士山で回収したごみは、年間平均で60トンを超えた。二つの山はともにユネスコの世界遺産に登録されている。今後、山岳管理の知識を共有するための人材交流や、土砂災害を防ぐためヒマラヤでの植林活動などを行う。来年春には、同時期に清掃活動も行い活動の輪を広げていきたいとしている。

 今では観光地化されたとまで言われているエベレストにも当然、人類未踏破の時があった。6月28日(土)に公開を迎える『ビヨンド・ザ・エッジ』では最後の辺境と言われたエベレストを人類が征服する瞬間を観ることができる。1953年エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイが初登頂を遂げる前にも、エベレストを征服しようと15回も真剣な試みがされたが全てが失敗に終わり、13人がその命を落としていた。その圧倒的な脅威と偉大さは昔も今も変わらない。登山ブームで登山人口が増える一方だが、映画を通して山への畏怖の念を今一度思い出したい。

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執筆者

Yasuhiro Togawa