有限会社西ヶ原字幕社(本社:東京都杉並区、取締役:林原 圭吾)が配給を手掛ける韓国映画「南営洞(ナミョンドン)1985」と「南部軍」が、4月26日(土)より「韓国社会派監督チョン・ジヨン特集」と題し、渋谷UPLINKおよび大阪シアターセブンで公開中です。

 チョン・ジヨン(鄭智泳)監督は、民主化まもない韓国で体制批判的な映画を撮り続けてきました。今回上映の2作品も、韓国の民主主義を考えるうえで欠かすことのできない歴史的事実をモチーフにしています。
 公開初週にはチョン・ジヨン監督も来日。4月28日(月)には渋谷UPLINK、29日(祝)には大阪シアターセブンで舞台挨拶を行いました。いずれも会場は満席となり、シネマトゥデイ、ハンギョレ新聞などのメディアで取り上げられました。東京・大阪での公開は5月23日まで。その後、6月7日から名古屋シネマスコーレ、6月17日から札幌蠍座での公開をはじめ、神戸元町映画館など、順次全国で公開になります。
 各作品のDVDも今秋に発売予定です。歴史的背景を解説する特典映像も収録する予定です。こちらもご関心をお寄せください。

<上映予定>
■渋谷UPLINKでの上映予定
場所: 渋谷UPLINK(渋谷区宇田川町37-18 トツネビル2階)
URL : http://www.uplink.co.jp/
5月10日〜 10:30から1日1作品を日替わりで上映
上映スケジュール詳細: http://www.uplink.co.jp/movie/2014/24392

■大阪シアターセブンでの上映予定
場所: シアターセブン(大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ5階)
URL : http://www.theater-seven.com/index.html
5月10日〜16日 「南部軍」10:00、「南営洞1985」13:00 (16日以降は未定)
上映スケジュール詳細: http://www.theater-seven.com/2014/movie_jeongjiyeong.html

<上映作品詳細>
■「南営洞1985〜国家暴力、22日間の記録〜」(2012年)作品紹介
 軍事政権下の韓国。民主化運動家・金槿泰(キム・グンテ)は南営洞所在の公安警察で22日間の壮絶な拷問を受けた。これがアメリカの人権団体を通して国民の知るところとなり、軍事政権への不満が噴出。87年の6・29民主化宣言への呼び水となった。金槿泰は拷問の後遺症で2011年に他界。彼が残した自伝的手記をチョン・ジヨン監督が映画化した。出演はパク・ウォンサン、イ・ギョンヨン。第17回釜山国際映画祭(2012年)GALAプレゼンテーションで上映。

■「南部軍〜愛と幻想のパルチザン〜」(1990年)作品紹介
 朝鮮戦争時、山岳ゲリラ闘争に身を置いた李泰(イ・テ)の自伝的手記をチョン・ジヨン監督が映画化した。現代史のタブーとされてきた彼らを人間的に描く本作は、韓国の民主化を実感させるに十分だった。主演は国民俳優アン・ソンギ。彼と恋仲になる看護兵を、90年代のトップ女優チェ・ジンシルが演じている。157分の大作にもかかわらず、韓国公開時には国内興行成績で2位に入るヒットとなった。同年の青龍映画賞で監督賞、男優主演賞、新人女優賞など受賞。

<チョン・ジヨン(鄭智泳)プロフィール>
 1946年、忠清北道清州出身。1992年、ベトナム戦争に参戦した韓国兵を描く「ホワイト・バッジ」で、第5回東京国際映画祭グランプリを受賞。
 2012年、奇しくも韓国の第17代大統領選挙の年に公開された「南営洞1985」では、韓国現代史に通底する国家の暴力性を正面から告発した。秘密保護法案など、個人と国家の関係が問われる現在の日本社会にとっても示唆的な作品となるであろう。

関連作品

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執筆者

Yasuhiro Togawa