2013 年カンヌ国際映画祭で審査員をつとめ、同映画祭にて 1997 年『萌の朱雀』でカメラドール(新人監督賞)・2007 年『殯の森』でグランプリ(審査員特別大賞)受賞の経験をもつ河瀬直美監督の最新作「2つ目の窓」(WOWOW FILMS)が、2014年夏全国公開いたします。
この度、すでに出演が発表されている、杉本哲太、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳、榊英雄、常田富士男に続き、本作のためのオーディションにより選ばれたW主演の二人を発表いたします。
島で生まれ育ち、生と死を目の当たりにするひと夏をともに過ごしながら成長する 16 歳の二人の主人公・界人(かいと)と杏子(きょうこ)役として、村上虹郎(むらかみ にじろう)・吉永淳(よしなが じゅん)。フレッシュな二人と、日本を代表する個性派俳優たち、そして河瀬直美監督との、化学反応にぜひご期待ください。本作は、2013年10月1日より、鹿児島県奄美大島でクランクイン、約1か月の撮影を経て4月完成予定です。

本作品は WOWOW の劇場用映画レーベル「WOWOW FILMS」 の最新作で、日本、フランス、スペインの出資による国際共同製作となります。
中でも、優れた映画作家の作品を追っているフランスのTV局・ARTE France Cinéma の参加作品として、全篇日本で撮影された作品が選ばれるのは初めてで、本作への参加を決めた理由として、監督のこれまでの作品に対する尊敬と今回の作品の脚本のレベルの高さにより、コミッション全員一致での決定だったと明かしています。
第 64 回ベルリン国際映画祭では完成に先駆け、ワールドセールスも開始。全世界のバイヤーから問い合わせが殺到。
河?監督の最新作に対する、各国の関心の高さが伺えました。

まさに、全世界が待ち望んだ河瀬直美監督最新作「2つ目の窓」。島に抱かれ暮らす 16 歳の少年と少女、そして彼らを取り巻く大人たちの姿を通して、人類創生からの魂はすべてが同じところへ還りつく物語を提示、この時代を生きる人々への一筋の希望を伝える人間ドラマの完成を、ぜひご期待ください。

●村上 虹郎 コメント:
■主演に選ばれた時の感想
“映画、やりますか”と、風が気持ちよい海を目の前に監督から言って頂き、監督と主演という関係がやっとの思いというか、やっとこさの始まりでもありました。嬉しかったです本当に。でも嬉しいのと同時にプレッシャーがありました。何をかはわからなかったんですが頑張らなきゃなって。
河瀬さんと僕、同時に監督と役者。出逢いから撮影期間中も今も、河瀬さんは河瀬さんで、主演が決まってから段々と河瀬さんが映画監督になっていっていきました。ずっと監督は監督なんですが、じゃあ監督って具体的にどんな事を言ったり、したりするのかがわからなかったので、それも徐々にという感じでした。

■撮影後の今の想い
同じ方向に進んできた仲間っていったら生意気なんですけど、独特なファミリーみたいな。たったの数週間、数ヶ月という短時間の中でほとんど初めて会った人達と一つの人生を生きる。そんな濃い時間はあっという間に過ぎ去って、散り散りになってしまって最終日とか気持ちは弾けたのに、後も何かモヤモヤしたものがあります。その中には大きく寂しいなって気持ちがあります。
スタッフさん、監督、他のキャストさん達全員なんですが、特に母役の渡辺真起子さん、ヒロインの吉永淳ちゃん、そして監督とは本当に切実に時間を共にして、良かったです。ありがとうございます。

●吉永 淳 コメント:
■主演に選ばれた時の感想
全力で挑んだオーディションだったので、選んで頂いたときは、喜びが大きかったです。もちろん、主演であることに対して、「本当に、私でいいのかな」という想いはありましたが、監督に選んで頂いたからには、私のできる精一杯のことをしようと心に決めました。奄美大島の豊かな自然のなかで、私なりに杏子を生きたいと思いました。

■撮影後の今の想い
最近、日々の生活の中で、ふと奄美大島の風景を思い出すことがあります。波の音。風の音。鳥のさえずり。そのひとつひとつがパッと目の前に、広がりをもって現れるのです。 作品制作中、河瀬監督に「スタッフ、キャスト全員で、物語の糸を紡ぐのだ」と助言を頂きました。この作品に込められている想いが観客の皆様の元に届き、そしてさらに糸が紡がれてゆくのでしょう。その日を境に、また新しい世界がはじまることを願っています。

●監督:河瀬 直美(かわせ なおみ)
■主演二人の起用理由
圧倒的な強さを持つ奄美の自然。
それに負けない存在感のある2人。
目、たたずまい、声、肌の色、海で泳ぐ姿・・・演技経験の有無に関わらず、
そんな彼らの持つ質感を重要視しました。

■実際に撮影をし終えた今の感想
思っていた以上にその質感は奄美の自然と対峙し、得も言われぬ存在感として映画に定着しました。
何度も本気で泣き、何度も本気で笑い、何度も本気で悩んで怒って・・沈黙したり、疾走したりしながら、 この映画人生を歩んでくれました。きっと、彼らの映ったショット、それを切れば血が流れるのだと思います。
それほどに、彼らはそこで生きて、存在していました。彼らの魂はこの世界の希望となるでしょう。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa