本作は、2013年ベルリン国際映画祭にて、銀熊賞ダブル受賞(審査員グランプリ・主演男優賞)・エキュメニカル賞特別賞を受賞し、三冠に輝いた奇跡のヒューマンストーリーです。

社会について、あらゆる種類の疎外や差別について、その議論を促すだけでなく、被害者の置かれた状態を感情的に理解することを通して、「自分たちはどんな人間になってしまったのか」を自身に問うために、この話を描かなければ、と思いました。——ダニス・タノヴィッチ

実際の事件を、当事者たちを使って描いた心揺さぶる感動作。

2011年末、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのある村に住むロマ民族の女性セナダが、保険証を持っていないために手術を受けれないという記事が新聞に掲載された。
これを読んだダニス・タノヴィッチ監督は「何とか映画にして世間に訴えなければいけない」と立ち上がり、当事者たちを説得し自主製作として、9日間で一気に撮り上げる。
一度も演技の経験がないにも関わらず、その存在感でナジフ・ムジチは、ベルリン国際映画祭にて主演男優賞を受賞するという快挙を成し遂げた。
また本作をきっかけに、保険証と定職を手にしたナジフ一家。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=51932

執筆者

Yasuhiro Togawa