日本でも観客動員が好調の「3D版」をジェームズ・キャメロンが絶賛!!

先日、映画「アバター」の続編を制作中のジェームズ・キャメロン監督が、3D版「キャプテンハーロック」を自身のスタジオで鑑賞。2D版を春に見て以来、「3Dがあがったらすぐに見せてほしい!」と、ェームズ・キャメロンが試写を熱望したことで荒牧伸志監督が渡米し、2人の顔を合わせが実現。実は初対面でありながら、古くから互いにその存在を認識していたという2人。キャメロン監督の隣に座って試写を見た荒牧監督は「ちゃんと見ているかな〜」と試写中、終始気になっていたが、キャメロン監督は終わった後すぐ荒牧監督へ手を差し出し「素晴らしい。Congratulation。」と絶賛。荒牧監督は感無量の様子だった。

試写を終え、ハリウッドの頂点に立つスター監督は、「キャプテンハーロック」3D版の出来を次のような言葉で賞賛し、映画の興奮を伝えた。

“Visually poetic” 詩のような映像
“Majestic” 荘厳な作品
“Epic in every sense” すべてが勇壮で叙事詩的
“Emotionally compelling” 感情が揺さぶり起こされる
“Its style and difference are its strength” このスタイルと特異性がこの映画の最大の強み

「アバター」の制作にも携わっているLightstormEntertainment(ジェームズ・キャメロン監督の製作会社)のクリエイティブチームやエグゼクティブにも「キャプテンハーロック」を見るよう薦めている。
日本での映画公開初日舞台あいさつ後、すぐに渡米した荒牧監督は、キャメロン監督のスタジオを訪れ、がっちりと握手を交わした。

東映アニメーション側から、海外版への関与をオファーしたところ、「電話しとくよ」と笑顔で答えた。
荒牧監督から「何か手伝えることがあれば何でも言ってほしい」と申し出た所、「いや、手伝いたいのはむしろ僕の方だ」とお互いにリスペクト。日米を代表する映像派監督の新たなコラボレーションの実現を予感させた。

プロデューサーの池澤良幸は「私は日本での映画公開のため同席できなかったのが残念ですが。荒牧監督や海外セールス&マーケティングチームから、とてもキャメロン監督が気に入ってくれ、インスピレーションを刺激する作品だと高評いただき、そして『ハーロックは何度も見るべき映画だ』と語っていただき、大変嬉しく思っています。荒牧監督もキャメロン監督との時間を堪能されたようで、まるで子供のようにはしゃいでいる写真を送ってきてくれました。まだ具体的なことはこれからですが、ハーロックの海外展開に関しても、様々なお話をさせていただいており、今後の展開にご期待いただければと思います」

詳細は明らかにできないが、今後の更なる展開へと歩みだした。
すでに78の国と地域から公開オファーが届き、随時契約締結が進んでいる「キャプテンハーロック」。
日本映画が、新たな歴史を刻もうとしている瞬間だ!

<監督インタビューまとめ>

Q:何故今回キャメロンに見て頂いた経緯は?

A:僕の仕事上のパートナーでもあるジョセフ・チョウと彼の元上司のブライアン・ジェイミソンというプロデューサーがいて、彼らが元々アメリカのワーナーにいて顔が広かったので、誰か見てくれる人いない?と相談していた。すると私も知っていた方なのですが映画祭を主催したりしている方がいて、キャメロンと知り合いだったので、「観てほしい!」とお願いした。最初に連絡したのは4月or5月だった。その時にすぐ連絡が返ってきて、「観たい!週明けに自宅に来てくてれ!」と。その時に本編(最終手前のセミファイナル版)を観てもらってコメントをもらえた。その時は私はいなかったので、「本当かな?」と思っていた。
それまでは、特に面識はなく、私のほうが一方的に知っているだけと思っていましたが、お土産で私の過去作のDVDを持っていったら「これは観たね、あっこれも観たね」とかなり私の作品を観てくれていてとても嬉しかったですね。

Q:今回直接お会いして、どうでしたか?

A:キャメロンはロサンゼルスにスタジオを借りていて、アバターの次回作の作業をしていた。スクリーニングルームに連れていってもらうと彼がいた。撮影スタジオのような場所に連れて行ってもらったら、15Mくらいのタイタニックが置いてあって驚いた。そういう前フリがあってから、「じゃあ観よう」となった。
スタジオにシルバースクリーンがあって、3Dで見れるんですよ。なぜかジェームズ・キャメロンは、いつも一番前でみるから、それなら僕も隣に座らてもらおうと思って、並んで座りました。
隣でキャメロンが見ているから、逆に「ちゃんと見ているかな」って気になっちゃって(笑)
嬉しかったけど、寝ないかな〜とか、大丈夫かな〜とかいちいち気になっていたけれど、ちゃんと反応してくれて。ケイがぶんなぐるシーンとか笑ってくれました。
終わった瞬間に、すぐに手を出してきて握手してくれて「素晴らしい。Congratulation。」など言ってくれて感無量でしたね。

Q:ジェームズ・キャメロン監督への印象はいかがでしたか?

スタジオに入るとすごい怖いらしいけれど、ご覧いただいたときは穏やかというか、フランクにしてくれて。似てるけど本物なのかな?とか思ったりしましたね(笑)

Q:キャメロン監督も荒牧監督の作品をみてきているので、通じるものがあったのでは?

そうですね、僕も元々メカニックデザイナー出身で、彼も最初のターミネーターでは画を書く人でしたし、デザインも自分でしてましたし。そんな簡単なものじゃないと思いますけど、彼も自分でカメラを持ってまわすタイプの監督なので、僕の作品に対しては、特徴といったものは、ある程度理解して見ていただいていたと思います。
新しいことをイメージして、観たこともないものを創りだそうとしたところにすごい評価してもらった気がしますね。
「凄いイメージが出てきていて素晴らしい」「見たことないものばかりだ」とかおっしゃていましたね。一言一言が有難かったですね。感無量でした。

Q:キャプテンハーロックは今までのアニメと一線を画していると言われているが、
 日本の作品が海外に出ていくために今後のアニメで必要なことは、生かしたことは。

キャメロンが言ってくれたのは、日本人からしか出てこないテーマだと。
人が繋がること。世代が繋がることで力を持つというか、人から人へ世代を越えて受け継がれていくという発想というか。僕が拡大解釈しているんですけど、そういうこととか、ヒーローといってもアメリカのような最後にドカンとやっつけて終わりじゃないのが、彼は詩的だという表現をしていた。美しいフィルムになっていると言い方をしていた。いわゆる価値観、クオリティはあげたつもりだけど、それよりもそれに流れるのものが必要。テーマ性なようなもの。テーマが日本的なものというか、アメリカ人とは違うユニークなものが入っていると。ある意味一般的には理解できないかもしれないけど、向こうにとってユニークなものでもある。そういったものは、むしろ必要なのではないかなと。日本らしさを全面的に打ち出すよりもそういった部分での日本らしさを打ち出すことが、キャメロンさんは感銘を受けたとおっしゃってました。そういうところも見てくれているんだなと思って、一般的に広く受けられるかというのは見てもらわないとわからないけど、そういう点をユニークに感じてもらえたのは、驚いたよりはなるほどなぁと思いました。それを強調したほうがいいのかそうじゃない方がいいのか、アメリカンスタイル、ハリウッドスタイルに内容を迎合するよりは、本来僕らが持っているものを伝えていくほうが、良いのかなと。
違いが際立つのかなと思いました。中々、そこは微妙で難しいですけどね、絵のスタイルとして、キャメロンが言ってくれたのは、僕の作品を見てきて新しいイメージを出していると、僕からしたらハリウッドも新しいものを出していると思うんですけど、アクションのアイディア、美術のセットのアイディアが、非常に新しいものが満載だみないなことは言ってくれるので、僕は自分の好きなことをやっているだけなのでそういう風に見えてありがたいなと思いますね。僕は逆にジェームズ・キャメロン監督に「あなたの作品からは刺激を与えてもらっていてありがたい」と言いました。日本のアニメをよく観ていらっしゃるような印象を受けましたね。

Q:J・キャメロン監督は日本のアニメが好きなのでしょうか。
『ターミネーター』の頃からロボットがテーマだったりするわけなので、そういうところでダイレクトではないけれども日本のアニメを面白く思ってくれているんじゃないですかね。『アバター』に出てくる人が乗るロボットとかもいかにも日本のアニメに出てきそうなデザインだったりするので、そういう共通するものはすごくあるなと思います。ぼくもSFとかメカとかミリタリーとかいう要素を使いながらも人が感動するものを作るという点ではJ・キャメロンは目指すべき人だったので、そういった点で繋がっているところはあると思っていました。そういう人といろいろ突っ込んだ話ができてよかったなと思います。
3Dについてもバランスがいいんじゃないか、見やすくて強調したいところはされていると評価いただきました。
Q:3Dの奥行であったり、飛び出してくるというところでハリウッドと日本では作り方の発想の違いはあるのでしょうか?
『アバター』はすごく自然に見える奥行き感、奥に広がりのある世界観だったんですけど、今回僕が3D監督と目指したのは見やすくて迫力のある映像だったので、3D監督の三田さんもJ・キャメロンの反応を楽しみにしていたんですけど、そういった点で違いはあるかもしれません。
『アバター』は世界観の美しさを見せるための3Dという感じだったんですけど、こっちはもう少し迫力を出すために、あえて漫画的に飛び出すということもやっていますのでそこに違いはあると思います。

Q:今度、一緒に仕事しようという話は出ましたか?
「今度手伝わせてください」と言ったら、「僕の方こそ今度何か手伝わせてほしい」と行って頂きました。。プロデュースしてほしいですね。一緒に仕事ができたら夢のような話ですね。

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執筆者

Yasuhiro Togawa