宝塚では可憐な娘役として注目をあつめ、1951年、映画界に華々しくデビューした女優・有馬稲子。
 1954年、俳優自身による独立プロダクション「にんじんくらぶ」を女優の岸恵子、久我美子とともに設立し、俳優の出演作の自由化を進め、日本映画の質の向上に大いに貢献しました。 また、自ら出演希望の原作の映画化を会社に提案するという一面もあり、自立した女優として一躍注目を集めました。 今回の特集上映では、行動派の娘を活き活きと演じ、鮮やかな存在感をみせたスマートな恋愛コメディ『愛人』、妻子ある男を愛した女が身を尽くした3年間を繊細に描いた『わが愛』など、コメディからシリアスドラマまで幅広く演じ、輝かしい魅力を放った有馬稲子の代表作9作品を上映いたします。
 なお、今回ニュープリントで蘇る羽仁進監督の『充たされた生活』では原作者・石川達三から有馬稲子自身が映画化権を得たもので、心に虚しさを抱える新劇女優が60年安保闘争の渦中で自らの生き方を追求して行くさまを、当時の俊英スタッフでみごとに描いた意欲作となっております。こちらも是非注目していただきたい逸品です。 女優として常に向上心を持ち、エネルギッシュに生きた女優人生を辿る10週間です。
 
特集上映『昭和の銀幕に輝くヒロイン 第70弾 有馬稲子』
開催期間:2013年9月1日(日)〜11月9日(土)連日10:30より1回上映

開催場所:ラピュタ阿佐ヶ谷

《上映作品・日程》
『愛人』(1953年/監督:市川崑) 9月1日(日)〜7日(土)
『わたしの凡てを』(1954年/監督:市川崑)9月8日(日)〜14日(土)『胸より胸に』(1955年/監督:家城巳代治 9月15日(日)〜21日(土)
『赤い陣羽織』(1958年/監督:山本薩夫)9月22日(日)〜28日(土)『危険旅行』(1959年/監督:中村登)9月29日(日)・10月1日(火)〜5日(土)『わが愛』(1960年/監督:五所平之助)10月6日(日)〜12日(土)『鑑賞用男性』(1960年/監督:野村芳太郎)10月13日(日)〜19日(土)
『かあちゃんしぐのいやだ』(1961年/監督:川頭義郎)10月20日(日)〜26日(土)『充たされた生活』(1962年/監督:羽仁進)10月27日(日)〜11月9日(土)
*9月30日(月)は全館メンテナンスのため休館いたします。

入場料金:一般…1,200円
シニア・学生…1,000円
会員…800円    *水曜サービスデー…一般1,000円

執筆者

Yasuhiro Togawa