8月10日公開の映画『HOMESICK』が、10月3日に開幕するアジア最大の映画祭・第18回釜山国際映画祭の「A window on Asian cinema」部門への出品が決まりました。
 本作は、未来を担う映画監督の育成プロジェクトとして、園子温、橋口亮輔、荻上直子、石井裕也らの商業長編監督デビュー作を製作してきた“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップ”の第22回作品。武蔵野美術大学の卒業制作『世界グッドモーニング!!』(09)でPFFアワード2010審査員特別賞やバンクーバー国際映画祭新人賞グランプリに輝き、ポン・ジュノやジャ・ジャンクーから「革命的でクリエイティブ!真に有望な映画監督」と激賞された廣原暁の劇場デビュー作となる。
 物語は、じきに再開発で取り壊される実家に留まることしかできない主人公の若者が、かつての自分のような子供たちとの出会いをきっかけに、自らの進むべき道を見つめ直していく。長引く不況の中、高望みをせず穏やかな暮らしを望む「さとり世代」と呼ばれる現代の若者たち。現在27歳で、「さとり世代」に当たる廣原監督は、等身大の若者の成長を一寸のブレもなく精密に鮮やかに切り取り、新世代のホームドラマを完成させた。

 第18回釜山国際映画祭出品の報告を受けて、釜山国際映画祭アジアプログラマーのキム・ ジソク氏と
監督からコメントが到着しました。
◆釜山国際映画祭アジアプログラマーのキム・ ジソク氏
30歳の主人公・健二は、家族が出て行った「家」を一人守るように暮らしをしているが、ホームシックを感じているのは、出て行った家族ではなく、彼自身である。
監督の廣原暁は「ホームシック」のことを、「空間」への懐かしさではなく「人や家族」への懐かしさだと語っている。現代社会で、だんだん希薄になっていく「人との絆」について多くを考えさせる秀作だ。

◆廣原暁 監督
釜山国際映画祭に、「HOMESICK」の出品が決まり、大変嬉しく思っています。
アジア最大の映画祭で上映されるからには、大勢の観客に見られる事を覚悟しています。実をいうと、様々な意見感想が、国籍を越えて四方八方から聞こえてくるのかと思うと、今から少し恐ろしい気分になります。しかし、そういった状況でこそ、映画の持つ普遍性は輝きを増すものです。
その試練に耐え、新たな可能性を提示する事ができる。「HOMESICK」はそんな映画であると、僕は信じています。

第22回PFFスカラシップ作品 『HOMESICK』 8/10(土)より、オーディトリウム渋谷 他全国順次ロードショー
【廣原 暁監督特集】同時開催決定!

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執筆者

Yasuhiro Togawa