映画『ラスト・シャンハイ』上海黒社会で生きた男が、野望と愛の狭間で命を懸けた、チャイナ・ノワール巨編

『男たちの挽歌』（86）で香港ノワールのヒーローとして大人気となり、その後90年代にハリウッドで活躍して世界的にも人気スターの仲間入りをしたチョウ・ユンファ。彼が香港で初めて人気を得た役が、1930年代の上海を舞台に、裏社会のトップへ登りつめていく男を演じた「上海灘」というＴＶシリーズだった。1980年に香港で放送されるや、視聴率80％あまりの高視聴率を獲得し、伝説のドラマとなっている。その後、ツイ・ハーク製作、レスリー・チャン、アンディ・ラウでリメイクされた『上海グランド』（96）、そして21世紀に入り、中国大陸で絶大な人気を誇るホァン・シャオミン主演で「新・上海グランド」（08）として再ＴＶシリーズ化されて話題となった。
「上海灘」は1920〜30年代に実在した上海黒社会のトップであった杜月笙（ドゥ・イェシェン）からインスパイアされ、激動の時代の中で一人の男の生きざまを描いた作品だったが、チョウ・ユンファとホァン・シャオミンの新旧ＴＶシリーズで同じキャラクターを演じた二人が、初めて本作品でダブル主演での出演が決定した時は、中国・香港・台湾で大きな話題となった。そして壮年期の主人公をホァン・シャオミンが、中年期の主人公をチョウ・ユンファが演じるという、まさにファンにとっては夢のようなキャスティングが実現したチャイナ・ノワール巨編である。
共演には、『イップ・マン　葉問』のサモ・ハン、『エグザイル／絆』のフランシス・ン、『レジェンド・オブ・フィスト　怒りの鉄拳』の倉田保昭といった顔ぶれ。製作を『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウが手がけ、監督には『ゴッド・ギャンブラー』のウォン・チンが手がけるなど、香港映画界のトップスターとスタッフが組んで、1930年代の上海を見事に描いている。