本作は、審美眼を持つ高校教師と文才に恵まれた生徒との緊張感漂うやりとりから生まれる、サスペンスを孕んだ緻密な人間ドラマ。原題「IN THE HOUSE」は、生徒が小説を書くために、同級生の家へ入り込む物理的な意味と、そしてすべての秘密が詰まった場所、という精神的な意味も内包したタイトルでしたが、邦題ではさらに具体的に、教師と生徒がともに紡ぎ出す物語が、どんどんエスカレートし、現実と空想の境界が曖昧になっていく様を表したタイトルになりました。

各国の映画祭ではオゾン監督の最高傑作との呼び声も高く、本国フランスでも動員120万人を超える大ヒットを記録いたしました。生徒役に大抜擢された、正統派美少年のエルンスト・ウンハウワー、フランスを代表する名優ファブリス・ルキーニを始め、アカデミー賞ノミネートのクリスティン・スコット・トーマスら一癖ある芸達者たちが集結し、人間が持つ毒と日常に潜む狂気を、ユーモアを交えて炙り出す極上の大人のサスペンスとなっています。

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執筆者

Yasuhiro Togawa