日本ではほとんど紹介されることもないまま、1999年に急逝した、映画作家ロバート・クレイマーのアメリカ時代の初期作品『アイス』『マイルストーンズ』を40年の歳月を経て、オリジナル16ミリフィルムで上映する特集『アメリカを撃つーー孤高の映画作家ロバート・クレイマー』を8/10(土)〜30(金)まで渋谷・ユーロスペースで開催します。

◆◆特集上映『アメリカを撃つーー孤高の映画作家ロバート・クレイマー』◆◆

1999年惜しくも急逝した映画作家ロバート・クレイマー。60年代のヴェトナム反戦と若者たちによる時代のうねりのなかで、多くの作品を発表。ドキュメンタリーとフィクションの境界線上に現代社会の本質を見つめる作品を発表し続け、とくにアメリカ社会に向けた鋭い眼差しには定評がある。

いまなお、多くの映画作家に影響を与え続けるクレイマーが、アメリカが最も熱く激しく動いた時代を活写した2作品『アイス』『マイルストーンズ』を40年の歳月を経てオリジナル16ミリニュープリントで劇場初公開する。

★8/10(土)〜30(金)渋谷・ユーロスペースにて2作品一挙ロードショー!!

ロバート・クレイマーもまた、アメリカ人でありながら、過去20年間のほとんどをヨーロッパで暮らした。その間、ドキュメンタリーとフィクションを交互に撮り、『エッジ』『アイス』など60年代後半に鋭い作品を何本も撮っている。

ロバート・クレイマーを見ていると、亡命さえもが贅沢品と思えるような孤立無援を現代の映画作家たちはかかえこんでいるのかもしれないと思われてくる。

−——蓮實重彦(映画評論家)「映画巡礼」より

執筆者

Yasuhiro Togawa