『エル・トポ』(1969年)『ホーリー・マウンテン』(1973年)『サンタ・サングレ/聖なる血』(1989年)で世界中に熱狂的なファンを持つ、チリの映画作家アレハンドロ・ホドロフスキー。今年84歳となるホドロフスキー監督の23年ぶりとなる最新作『リアリティのダンス』の日本公開が決定いたしました。

今作は、先日終了した第66カンヌ国際映画祭の監督週間でワールド・プレミア上映されたばかり。5月18日の上映前には、コンペティションに『オンリー・ゴッド・フォーギヴズ』を出品した彼の大ファンだというニコラス・ウィンディング・レフン監督がプレゼンターとして登壇し、ホドロフスキー監督を舞台に招きました。また今年の監督週間では、彼の未完のSF大作(のちにデヴィッド・リンチ監督が『デューン/砂の惑星』として完成)の製作過程を追い、レフン監督やH・R・ギーガーらが出演するドキュメンタリー『ホドロフスキーのデューン』(Frank Pavich監督)も上映され、話題を集めました。

1990年の『The Rainbow Thief』(日本未公開)以来となる『リアリティのダンス』は、ホドロフスキー監督による自伝『リアリティのダンス』(文遊社刊)が原作。チリの田舎町を舞台に、権威的な父親、オペラを歌うように話す母親とその息子を中心とした家族の生活を、シュールレアリスティックなタッチや残酷さも交えながら描写。鮮やかな色彩と音楽に満ちた、まさにダンサブルな作品となっています。

監督はカンヌでの取材で「おっぱいの大きな女性が出てくればフェリーニ的だと言われるし、小人が出てくればブニュエル的だ、フリークスが出てくればトッド・ブラウニング的だと言われるんだろう。しかし、私は映画史のどの監督にも似ていない。人々はあとになって『あぁこれぞホドロフスキー』と表現するけれど、私は成功するしないに関わらず、いつも新しいものを作り続けているつもりだ」と語っています。

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執筆者

Yasuhiro Togawa