選挙の前に観る【沖縄と米軍基地】緊急開催!!
ポレポレ東中野では、7月の参院選の争点になるであろう沖縄の米軍基地問題
を考えるドキュメンタリー映画や劇映画13作品を集めた特集上映を開催します。
毎年6月23日の”沖縄慰霊の日”に上映を続けている柴田昌平監督作品『ひめゆり』の上映を中心に、沖縄のみならず世界中に散らばっている米軍基地とは何なのか、アメリカと他国の関係を世界規模で捉える作品群を上映致します。
ひめゆり学徒隊生存者の証言を淡々と綴り、各映画賞を総なめにした『ひめゆり』や、イタリアの若き映画監督二人が世界中の米軍基地を取材した『誰も知らない基地のこと』、昨年の普天間飛行場の封鎖までを描いたアクチュアリティ溢れるドキュメンタリー映画『ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間』といった作品群に加え、韓国の米軍基地を追った『梅香里(メヒャンニ)』『アメリカ通り』二本のドキュメンタリー、沖縄に赴任する米兵たちそのものに迫った8時間を超える超大作『アメリカ 戦争する国の人びと』、アメリカ占領下の沖縄の米兵が集まるライブハウスを舞台にした崔洋一監督初期の劇映画『Aサインデイズ』など、従来の沖縄のみをテーマにした特集上映とは一線を画し、本特集は、沖縄と基地、米軍と世界、アメリカと日本、など多様に絡まる沖縄と米軍基地の問題を一つずつ整理して考えられるプログラム構成となっています。
その中でも白眉となるのは、世界でも有数のドキュメンタリー映画祭・山形国際ドキュメンタリー映画祭で最高賞を受賞しながら上映機会がなかなか少なかった作品『包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠』でしょう。本作には沖縄も米軍基地も登場しませんが、世界を席巻する新自由主義とは何なのか、というただ一つのテーマを語るノーム・チョムスキーやイグナシオ・ラモネといった世界の知の巨人たちのインタビューがモノクロフィルムと鮮やかなピアノ曲で構成され、なぜ世界中に米軍基地が存在するのかを考えるためのヒントに満ちています。2時間40分にわたる本作を観ていくと、新自由主義は世界各地にあった固有のものたちやその持続可能性をいかに浚っていったのかありありと見えてきます。
選挙を直前に控え、これらの作品群で沖縄が置かれている状況、日本が置かれている状況、世界が置かれている状況を感じて頂ければと企画致しました。
上映作品(全13本)
ひめゆり学徒生存者22人の証言
『ひめゆり』
(2007年|130分|監督:柴田昌平)
なぜ、戦後60年以上過ぎても基地をなくすことができないのか
『誰も知らない基地のこと -スタンディング・アーミー』
(2010年|74分|監督:エンリコ・バレンティ、トーマス・ファツィ)
日本であって日本でない歴史を刻んできた島々、沖縄
『ゆんたんざ沖縄』
(1987年|110分|監督:西山正啓)
ベトナム戦争末期の沖縄の若者たちの青春
『Aサインデイズ』
(1989年|111分|監督:崔洋一)
奇才・高嶺剛の伝説の沖縄映画 35mm上映
『ウンタマギルー』
(1989年|120分|監督:高嶺剛)
米空軍射爆場下で暮らす韓国の人々の苦しみを描いた
『梅香里(メヒャンニ)』
(2001年|78分|監督:西山正啓)
新自由主義の歴史と問題点をモノクロのインタビュー映像で紡ぐ
『包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠』
(2008年|160分|監督:リシャール・ブルイエット)
韓国・トンドゥチョン市「アメリカ通り」で働き続ける女性たち
『アメリカ通り』
(2008年|90分|監督:キム・ドンリョン)
世界中に駐在するアメリカ軍兵士それぞれがもつ背景
『アメリカ 戦争する国の人びと』
(2010年|494分|監督:藤本幸久)
※全8部を5プログラムに分けての上映
金城実と知花昌一、執念の首相官邸前座り込みに密着
『チビチリガマから日本国を問う!』
(2010年|86分|監督:西山正啓)
安保闘争とは何か、その後遺症として日本に残る米軍基地とは何か
『ANPO』
(2010年|89分|監督:リンダ・ホーグランド)
1959年と2004年二つの米軍ヘリ沖墜落事故、
そこに生きる人々
『ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜』
(2012年|110分|監督:及川善弘)
辺野古、高江、普天間。なぜ日本人同士が争わなければならないのか…
『ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間』
(2012年|112分|監督:藤本幸久、影山あさ子)
執筆者
Yasuhiro Togawa