数あるディズニー/ピクサーの傑作の中で、最も愛され世界中から続編への希望の声が絶えない作品のひとつ『モンスターズ・インク』。新作でマイクとサリーの最恐コンビが誕生する“学生時代”を描く『モンスターズ・ユニバーシティ』が7月6日(土)全国公開致します。今回、本作と同時上映される『ブルー・アンブレラ』の特別映像が6月11日(日)=傘の日に公開される。
 
 『ブルー・アンブレラ』は雨音が音楽を奏でる街角で“青い傘”と“赤い傘”が繰り広げるラブストーリー。都会に雨が降り始めたとき、それは街に命が宿る魔法の瞬間。傘をさした人間の目の届かない所では、命を宿した街が雨によって奏でられる音楽と共に様々な表情を見せ、素晴らしい場所になる。そんなロマンチックな街角、信号待ちの時に出会う“青い傘”と“赤い傘”。離れ離れになってしまう彼らを後押しするのは命を宿した街。実写と見紛うほど美しく描かれた街で恋に落ちた傘に訪れるファンタジックな展開とは?今回解禁された映像では、雨の美しい表現と“青い傘”と“赤い傘”が出会うシーンを見ることができる。
 本作でメガホンをとったのは『カーズ2』、『トイ・ストーリー3』などのカメラやレイアウトを担当したドイツで生まれ育ち、「ハンブルグにはよく雨が降る。僕は雨が大好きだ!」と語るサーシャ・アンセルド監督。

『ブルー・アンブレラ』特別映像::http://youtu.be/e77L5SbTNPg
 
 既にベルリン映画祭ではプレミア上映もされ、アニメーションでありながら実写と見紛う表現が注目を浴びている本作。監督はなぜピクサーでの短編にも関わらずリアルな描写にこだわったのか?「究極的にはストーリーがこのスタイルを求めていたんだ。都会が雨によって魔法のような場所に変わる。魔法のような要素を、奇跡の瞬間を強調するためにはマジカルな世界に入る前に、現時的な世界をしっかり描くことが重要だった。世界をマンガ的に描写してしまってはこの効果が得られない。」と語る。
  「CGアニメーションは、<アニメーション映画はこうあるべき!>という先入観がある。その独自のルックやスタイルに制限されてしまっていると感じていた。お馴染みのルックやスタイルを維持する必要なんてまるでないのに、それに慣れているという理由だけで、ずっと維持されていた。ただ、ピクサーに関しては凝り固まった概念は皆無だ。」と業界に一石を投じる言葉をいう。「僕はプレゼンのとき街の中で人間の顔に見えるものを幾つかiPhoneで撮って、表情をアニメートして10秒の動画を披露した。ジョン(・ラセター)とエド(・キャットマル)は『ぜひ実写的なリアリズムを持ったアニメをやろう!』とあっさり決まったからね。」と続け『ブルー・アンブレラ』が今までのピクサーとは違ったアプローチにより完成した作品であることを明かしている。
 
 『ブルー・アンブレラ』で史上最も実写に近い描写のアニメーションへの挑戦。ディズニー/ピクサーは凝り固まった概念を持たず進化を続け『モンスターズ・ユニバーシティ』では前日譚へも挑戦するなど、常に新しい驚きを贈り続ける。

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執筆者

Yasuhiro Togawa