株式会社アステアは、 第66回カンヌ国際映画祭 <ある視点部門>にて最優秀作品賞を受賞(現地時間27日発表)した、カンボジア人監督リティー・パニュ最新作「The Missing Picture」(原題)の国内配給を決定しました。

 監督のリティー・パニュは、幼少期にポルポト率いるクメール・ルージュによって行われた大規模な抑圧・迫害の影響で、家族や友人を失いました。当時の残酷な記録は支配者達によってほとんど破壊されており、この「失われた写真」を探し続ける中、作者は写真が持つ本当の意味に気づきます。そしてその写真を「探す」のではなく「創る」ことに転換します。記憶の中の“恐怖の支配”が、素朴なクレイアニメーションによって再現され、 主人公である「私」が観客に直接語りかけるように一人称で展開していく、人形劇のようなドキュメンタリー映画となっています。 カンヌ映画祭の会場では、多くの映画会社関係者が「悲劇の体験」という生を受けた、悲しみの人形達に感情移入し、涙しました。大絶賛を受けた本作の受賞の知らせは世界中のメディアによって取り上げられ、日本国内からは既に公開についての問い合わせが多数寄せられています。

 作家としても活躍するリティー・パニュは、デビュー作「Rice People 」(1994年) を皮切りに、本作までにカンヌ映画祭では合計5回の受賞・正式出品を経験しており、カンヌや世界中で今最も注目されている監督の一人です。日本では山形国際ドキュメンタリー映画祭での受賞や、大江健三郎の芥川賞受賞作を、カンボジアを舞台に映画化した「飼育」などでも話題となりました。 配給は、当社により、2014年から全国順次公開を予定しています。

監督・撮影・編集:リティー・パニュ(Rithy Panh) 2014年/カンボジア・フランス/95分公式サイト:http://astaire.jp/(作品公式サイト準備中)監督受賞・出品歴(国内):『さすらうものたちの地』(山形国際ドキュメンタリー映画祭01、ロバート&フランシス・フラハティ賞)『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』(山形国際ドキュメンタリー映画祭03、優秀賞)『焼けた劇場の芸術家たち』(東京フィルメックス05、コンペティション部門出品)『戦争の後の美しい夕べ』他5作品特集上映(難民映画祭07)『飼育』(東京国際映画祭11、アジアの風部門出品)

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執筆者

Yasuhiro Togawa