997年に刊行され340万部を突破した妹尾河童の自伝的小説「少年H」。

老若男女、幅広い層に読み継がれる大ベストセラー小説がついに映画化。日本映画界に燦然と輝く数々の名作を演出する巨匠・降旗康男監督がメガホンをとり、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズを手掛ける古沢良太が脚本を担当。そして物語の柱となる「少年H」の父と母を演じるのは、水谷豊と伊藤蘭。実際の夫婦である二人が、降旗監督演出のもとで“夫婦役”を演じるという奇跡の競演が実現します。

8月10日の公開を前に、マスコミ向け試写も連日大盛況の本作が、この度6月20日(現地時間)よりロシアで開催される第35回モスクワ国際映画祭において、部門上映作品に選ばれました。

GALA部門とは、全世界よりエントリーされた作品の中から、モスクワ国際映画祭が世界の映画業界で話題を呼ぶであろう作品を選び、特別上映をする部門で、同映画祭において最もグレードの高い部門に位置付けられています。この3500名収容の劇場で上映するGALA部門があることにより、モスクワ国際映画祭が世界4大映画祭のひとつと呼ばれるようになったとのことです。

そして、「少年H」は、今年度エントリーされた約1500本超の作品の中から栄誉あるGALA作品6本のうちのひとつに選ばれました。映画祭サイドは当初コンペティション部門での上映も検討したとのことですが、「少年H」はコンペ部門のサイズでは収まらないという判断をし、GALA作品に選出されたとのこと。日本映画がGALA作品に選ばれたのは、2011年の「借りぐらしのアリエッティ」と「少年H」のみ。日本の実写映画がGALA作品に選ばれたのは史上初の快挙になります。今年は、同じくGALA部門にブラッド・ピット主演の話題作「WORLD WAR Z」も選ばれています。

コンペティション部門においては、過去に日本人では新藤兼人監督が1961年の「裸の島」、1971年の「裸の十九才」、1999年の「生きたい」で金賞を受賞、1965年には黒澤明監督の「赤ひげ」がソ連映画人同盟賞を受賞しています。
降旗康男監督は、前作の高倉健主演映画「あなたへ」で第36回モントリオール世界映画祭エキメニュカル賞を受賞しており、2作連続の国際映画祭への選出となります。
主演の水谷豊、伊藤蘭はそろって初の海外映画祭への参加となります。

公式上映は、6月27日の予定(現地時間)。日本からは、水谷豊、伊藤蘭、降旗康男監督の現地入りを予定しております。3人は公式上映への参加のほか、映画祭のプログラムディレクターであるKirill Razlogovキリル・ラズロゴフ氏がMCを務めるロシア国営放送の番組にも出演予定です。その日の放送内容は、「少年H」がメインで取り上げられる予定です。

<コメント>

○水谷豊・伊藤蘭 コメント
30年ぶりに共演した作品「少年H」が、モスクワ国際映画祭の栄誉あるGALAに選出され、
日本映画が多くの海外の方にもご覧いただけることを大変うれしく、光栄に思います。
この作品にかかわるスタッフ・キャストの想いを世界に届けられること、
私たちにとって初の国際映画祭への参加を夫婦共に心待ちにしております。

○降旗康男監督コメント
昨年の「あなたへ」に続いての国際映画祭へのご招待、ありがたいです。海外の皆さんに作品をご覧いただけることは光栄です。「あなたへ」では、現地に赴けなかったので、今回は体調を万全に整えて、参加したいと思っております。

○モスクワ映画祭プログラムディレクター キリル・ラズロゴフ氏コメント
“少年H”は他に類の無い作品です。主人公の人生と国家・民衆の発展が結び付けられて描かれているのが素晴らしい。モスクワ国際映画祭は日本とその文化と多面的な関係にある国ロシアで行われていますので、私たちは喜んでGALA部門にこの素晴らしい作品を選びました。GALAは映画祭の最も華やかな部分であり、そこに参加出来るのは世界中の新作映画の中でも選りすぐられた作品です。そのため観客の興味も他より高いものでありロシア全土で注目される作品となります。

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執筆者

Yasuhiro Togawa