日本最高峰の俳優・仲代達矢×新境地を切り開いた・北村一輝

このたび2013年8月31日(土)よりユーロスペース、新宿武蔵野館ほか全国順次にて、『日本の悲劇』を公開する運びとなりました。本作は、日本中を騒然とさせた年金不正受給事件を題材に、ある家族の崩壊をとおして日本が陥っている「無縁社会の深淵」を描いています。

壁の向こう側にある愛について——。これは、私たち家族の物語。

大病を患い余命幾ばくもないことを知った父親は、病院から帰った翌日、自室を封鎖し食事も水も摂ることをやめる。そんな父親の狂気に混乱し、怒り、悲しみ、呆然とする息子。妻と子に去られた失業中のひとり息子は、未だ生活を立て直せず、父親の年金を頼りに暮らしていた。そんな息子を残し、扉を固く閉じた父親の真意とは……。
『バッシング』『春との旅』と、常に現代の日本を真正面から見据える大胆なテーマに挑み、カンヌ、ロカルノをはじめとする世界各国の映画祭で称賛されてきた映画作家・小林政広。『日本の悲劇』では、ある家族の崩壊をとおして日本が陥っている「無縁社会の深淵」を描いていく。モティーフになったのは年金不正受給事件だ。
出演者は父親・不二男に仲代達矢、息子・義男に北村一輝、別れた妻・とも子に寺島しのぶ、不二男の妻・良子に大森暁美の四人。外部との接点をなくした極限状態の家族がその果てに選ばざるを得なかった究極の愛の形——。
未曽有の閉塞感と孤立感に覆われた日本の現実を正視した『日本の悲劇』。小林監督が“遺書を書くような気持ち”で書き上げたという本作は、観る者にどんな衝撃を与えるのか。

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執筆者

Yasuhiro Togawa