『アメリカン・サイコ』や『ベティ・ペイジ』のメアリー・ハロン監督最新作『モスダイアリー』が、8月3日よりシネマート新宿他にて全国順次ロードショーの運びとなりました。単なるヴァンパイアものの凡庸なホラー映画ではなく、思春期に特有な微妙な混乱した心理状態、人間関係、身体の変化、家族の過去の悲惨な出来事などが影響し、連鎖する超常現象の形として表出する虚実曖昧な「エロティシズム」と「死」が絡み合うゴシックシネマです。

原作は、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」に影響を与えたと言われるシェリダン・レ・ファニュによる女吸血鬼の物語「吸血鬼カーミラ」の現代版とも評されるレイチェル・クラインが2002年に発表した同名小説。主演には『Dr.パルナサスの鏡』(09)で主要人物を演じた、イギリスが誇るスーパーモデルのリリー・コール、『危険なメソッド』(11)、『コズモポリス』(12)と立て続けに出演し、デヴィッド・クローネンバーグ監督の新星ミューズとなった サラ・ガドン、そして、『イン・アメリカ 三つの小さな願い事』(02)で当時10歳ながら数々の賞にノミネートされた、『スパイダーウィックの謎』(08)のサラ・ボルジャーという、今大注目の女優が大集結した。女子寄宿舎とい特なベールに包まれた閉鎖的な世界を舞台に、少女から大人に成長していく葛藤を耽美的に描き、ヴェネチア国際映画祭にて初お披露目され、その後も数々の映画祭に出品され、大絶賛を受けた。

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執筆者

Yasuhiro Togawa