このたび2013年7月6日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次にて、ドキュメンタリー映画『台湾アイデンティティー』(酒井充子監督作)を公開する運びとなりました。日本統治時代に生きた人たちが、いま晩年を迎え、台湾そして日本に対して愛情と悔恨を持ちながらも、たくましくひたむきに生きてきた時間を捉えています。

本が台湾を去ったあと、彼らは時代のうねりに翻弄された。
教科書には載らないほんとうの歴史がそこにある。

日本と台湾の解けない関係性を描き出し、劇場ロングラン・ヒットを記録した酒井充子初監督ドキュメンタリー『台湾人生』(09)から4年。東日本大震災の際、台湾からは200億円を超える義援金が寄せられ、昨年(2012年)には日本から過去最高の約144万人が台湾を訪れました。これまで以上に親しい隣人として関心を集める台湾。本作はそんな台湾と日本の抱える過去を知り、現在を見つめ、未来を想うドキュメンタリーです。

1895年(明治28年)から1945年(昭和20年)までの半世紀、日本の統治下にあった台湾で日本語教育を受けた「日本語世代」といわれる老人たち。本作は舞台を台湾、ジャカルタ、そして横浜へ移しながら、市井の老人たちの人生に寄り添います。日本の敗戦で台湾に戻れなかった人、シベリア抑留のおかげで二二八事件に巻き込まれずに済んだと笑う人、白色テロによって父親を奪われた人、青春の8年間を監獄で過ごさねばならなかった人、「本当の民主主義とは」を子供たちに伝え続けた人。第二次世界大戦、二二八事件、白色テロという歴史のうねりによって人生を歩み直さなくてはならなかった彼らが自らの体験を語るとき、私たちに問いかけることとは…。

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執筆者

Yasuhiro Togawa