先日、映画『俺俺』がイタリアの第15回ウディネ・ファー・イースト映画祭にて4月19日(金)に世界で初めてとなる“ワールド・プレミア”上映されました。映画祭の皮切りとなるオープニングフィルムとして唯一の日本映画として選ばれた『俺俺』。過去に三木聡監督の特集上映が行われたことのある当映画祭で、上映時には主演の亀梨和也、監督の三木聡も現地に駆け付け、場内は満員のお客様で埋め尽くされました。

そしてこの度、本映画祭の受賞が発表され、3つある賞の中で、見事『俺俺』が【観客賞(MY MOVIES AWARD)】を受賞しました! 観客賞(MY MOVIES AWARD)とは、映画祭での上映を映画を観た人と、鑑賞者以外にもインターネットで投票できる人気投票。これまでに日本映画の受賞は「おくりびと」(08)で「ブラックドラゴン賞」(ジャーナリスト、映画関係者の投票)を、「テルマエ・ロマエ」(12)が『俺俺』同様の「観客賞(MY MOVIES AWARD)」を受賞するなど、日本でも大きな話題になった映画が名を連ね、今回の『俺俺』の受賞は本映画祭で上映された日本映画12本の中で唯一の受賞となり、ワールドプレミア上映で鑑賞した観客の満足度の高さと、それに加え世界中からのインターネットでの投票で、映画祭側も驚く過去に類をみない投票数で、これから映画を鑑賞する人たちからの『俺俺』への期待感が伺える結果となりました。

映画祭のディレクター、サブリナ・バラセッティは本作について「ウディネ映画祭はずっと三木聡監督の大ファン。監督の映画はいつも魅力的な作品ばかり。『俺俺』はシュールで、最高で、常識の枠を超える、今まで見たことのない傑作!そして主演の亀梨和也さんが『俺俺』の世界観にハマっていて素晴らしい!ウディネでワールドプレミアとしてお披露目できて光栄に思います。」と、選考委員のマーク・シリング氏は「ドライでファニーな視覚的なギャグを豊富にちりばめているが、前作よりさらに奔放で気まま、『変身』でしがないセールスマン、グレゴール・ザムザを巨大な虫に変えてしまったフランツ・カフカのような、大きな野望に満ちた作品に仕上がっている」と今回の受賞も納得の、映画祭側の絶賛コメントが寄せられています。

また映画祭での上映をきっかけに、世界中のマスコミの海外レビューでも取り上げられ、オレオレ詐欺をしたことから俺の増殖が始まるという奇想天外で不条理な世界を描いた本作に対し、「『転々』の三木聡監督は、不条理なユーモアのセンスと、奇抜なアイディアを極めて常識的な深みをもって見事にバランスを取ることができる類い稀な才能によって、忠誠心の高いファンを獲得している」(映画サイト「twitch」より)、「前半戦のドタバタコメディから後半はかなりダークでシリアスな展開に!三木監督の新作が稀にみる独創性に富んだ作品であることは疑いの余地なし」「人間とは?主観とは?究極に言えば「個」とはなんなのか?ということを深く考えさせられる映画であって、ただ笑うだけのコメディではないと言った方が適切。」(COVENTRY FAREAST FILM SOCIETY review)など称賛のレビューが多々あがっています。

今回の受賞と海外での称賛を受け三木聡監督からコメントが届きました!「この様な賞を頂き、本当に光栄に思います。サブリナさんをはじめ映画祭の関係者の皆さん、そして何より観客のお一人お一人の暖かい思いが、私の様な不毛地帯に足を踏み入れている映画監督にとって、どれだけ勇気を与えてくれることか。おそらく、この映画に対する観客の皆さんの支持は主演俳優である亀梨和也に向けられたものであると、思います。彼は今後、日本映画を代表する俳優となるはずです。どうかウディネ映画祭の皆さん彼の今後を是非注目して頂きたい。皆さんの先見の明が実証されるはずです。最後にこの賞をきっかけにより多くの観客が俺化することを願っております。ありがとうございました。」
先日、ワールドプレミア上映の際に、観客と一緒に映画を観た三木監督が「亀梨の演技が海外に羽ばたいていった」とコメントし、亀梨和也が「日本だけでなく海外の人にも伝わるメッセージがある」と自信を深めていたその実感が世界に広がっています!

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執筆者

Yasuhiro Togawa