思春期の多感で複雑な感情と、倒錯した心理を伝統ある全寮制の女子校を舞台に耽美的に描く
『ぼくのエリ 200歳の少女』を超える、美しくも儚いゴシック・ヴァンパイア・ミステリー

レイチェル・クラインが2002年に発表した、カルト的人気を誇る小説を、『アメリカン・サイコ』(00)のメアリー・ハロン監督が映画化した『THE MOTH DIARIES』の邦題が『モスダイアリー』となり、8月3日よりシネマート新宿他にて全国順次ロードショーの運びとなりました。主演にはイギリスが誇るスーパーモデルのリリー・コール、デヴィッド・クローネンバーグ監督の新星ミューズ サラ・ガドン、そして、『スパイダーウィックの謎』(08)のサラ・ボルジャーという、今大注目の女優が大集結した。

十代の頃に誰もが体験した密接で恋愛感情にも似た少女たちのあやうい友情
本作はありがちなヴァンパイア映画ではなく、一人の少女の体験を通して、友情を失う痛み、狂おしい嫉妬心、拒食、自傷、自殺願望、大人になることへの恐れなど、思春期という誰でも一度は通る激しくて、あやうい時間を、女子寄宿舎という独特なベールに包まれた閉鎖的な世界を舞台に、少女から大人に成長していく葛藤を耽美的に描いた。そして、ヴェネチア国際映画祭にて初お披露目され、その後も数々の映画祭に出品され、大絶賛を受けた。

麻酔を嗅がせるように魅了し、時間をかけて吸血する・・・。
父の自殺から立ち直れずにいるレベッカは、古いホテルを改造した寄宿学校で人生をやり直そうとする。明るく無邪気なルーシーと友達になり、つかぬ間の幸せの時を過ごしていたのだが、ヨーロッパからきたミステリアスな転校生エネッサが来てからすべては一変してしまう。ルーシーはエネッサと終始一緒に行動し自分から離れていき、日に日にやつれていく。そして学校では謎の死が相次ぐのであった…。レベッカはエネッサの行動などから、彼女がヴァンパイアなのではないかと疑うが、誰にも相手にされない。とうとうクラスメイトからも孤立し、説明のつかない病で苦しんでいたルーシーが死んだ時、レベッカはたった一人でエネッサに立ち向かう決意をするー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa